いざ! 長野
同社では、大きく分けてデスクトップ製品とノートブック製品で別々の修理センターを設けているのだが、今回は長野県安曇野市にあるデスクトップパソコンの修理センターを訪ねることに。当日は同社CS・品質管理部、サポート・サービスグループの村山賢治氏に、修理センターの案内を担当していただいた。
はてさて訪問取材の冒頭、「お客様の仕事をストップさせないために最大限の努力をしています。トラブルが発生しないことが1番ですが、トラブルが発生した時こそベストを尽くすのが、エプソンダイレクトのサポートサービスです」(村山氏)と、"自信"の先制パンチをもらう。これは相当期待できそうだ。それでは早速、修理センターの内部を見せていただきましょう!
修理センターの内部は思っていたよりシンプルでおおまかに、修理対応となった製品の受け入れスペースと、各種ツール類などが備えられたワークデスク、修理が完了した製品が出荷を待つ送り出しスペースが設けられている程度。筆者的には、パーツや工具が所狭しと散乱しているとか、ありがちな鉄火場的な雰囲気を思い描いていたのだが、なんの、実際の現場は意外とスマートだなぁという印象だ。
土日も休まないぐらいだから、もちろん取材当日も修理に出されたパソコンが受け入れられ、修理され、梱包の後に送り出されて行く。作業の流れではまず、案件ごとに修理内容の難易度別に優先度がつけられ、かつ高難易度の作業はより高いスキルを持つスタッフが作業にあたるなど、各スタッフの熟練度も考慮した作業順と担当の振り分けが"即座"に行われる。
振り分けられた後は、修理対応となったトラブルの原因を探る作業が始まる。この部分について、原因がピンポイントに判明さえすれば、どんな作業でも割と簡単なのだというが、ユーザーから窓口に伝えられた情報があったとしても、それでもこの原因を探る作業が一番大変なのだそうだ。ただ、「1日修理」を実現するからには、悠長に検証している時間なども無いだろう。専用のテストツールを使ってのシステマティックなトラブルチェックもあるのだが、これをやってのける最大の武器というのが、なんと各スタッフの"経験"だという。
作業に当たるスタッフは多くが10年選手級の熟練スタッフであり、蓄積したノウハウから不具合のパターン化と情報共有も行われているというから、これはより確実な"経験"なのだろう。経験をベースに、起こっているトラブルから、その原因にアタリをつけて作業をし、その結果として素早い原因解明に繋げているというあたり、まさに職人の世界だ。こういった熟練の人間の力が最大限に活かされているところには、日本メーカーならではの特徴を感じてしまう。
ちなみに、受け入れから送り出すまでの作業は、1人のスタッフが全工程を単独で担当するようになっている。これは、同社の採用する作業フローではこの方式のほうが効率が良いという理由もあるそうだが、そのスタッフが、その1台に対して責任感を持って作業にあたるという意味もあるのだとか。「我々にとっては数多く出荷した内の1台かもしれませんが、お客様にとっては1台中の1台だということを忘れないようにしています」(村山氏)。
そういった説明を聞いている間にも、目の前では、手馴れた感じのスタッフの手により、すべての作業が滞ることなくテキパキと進行して行く。やはりスマートだ。もっとも、ここがスマートでなかったら1日修理の実現などできないだろうから、当然といえば当然なのだろう。
実は、「1日修理」の受け入れの前日、つまりユーザーから各窓口に問い合わせがあった段階にもポイントがあるそうだ。製品を受け入れ次第、修理センターが万全の態勢ですぐに作業に入ることができるように工夫されていて、窓口で受けた内容が専用の管理システムで一元管理されるようになっており、状況は事前に修理センターに伝わる仕組みとなっている。そのような仕組みのため、窓口の対応体制も非常に重要で、ここも相当に力を入れている部分なのだとか。
地道な積み重ねがすべて
ナルホドである。実際に現場を見せてもらい、謳い文句どおりの『安心』を実現する取り組みが、確かに存在しているのだと納得がいった。ところで、エプソンダイレクトに言わせると、まだまだ現状に満足はしていないそうで、「例えば窓口の充実。電話がもっと繋がりやすいようにするとか、Webに設けてある修理状況の参照ページをもっと詳しく強化したい。やりたいことはまだまだあります」(村山氏)と、志しは尽きない様子だ。
これなら『安心』を期待しても問題無さそうである。取材の最後に、村山氏が話してくれた「地道な活動の積み重ねがすべてです。今後もお客様の視点に立ったサポート・サービスを提供し、更にスピードと安心を追及していきます」という言葉から、エプソンダイレクトの自信の源泉を垣間見れたように思えた。