--ファーウェイの強みとはなんですか。
いまお話したように、最大の強みは、研究開発に多くの投資を割いていることです。これは、ファーウェイ製品の高い信頼性、安定性、そして先進性につながっています。また、こうした技術力を背景に、国際標準をリードする役割を担っている点も強みだといえます。ファーウェイは全世界で、83の標準化組織に参加していますし、全世界で2万6,000件以上の特許を出願し、4,200件もの特許を取得しています。2007年に申請した特許の数では、全世界で第4位。中国では第1位です。さらに、ASICデザインをすべて自社で行うなど、顧客の声を反映した設計/開発体制を確立している点も、ファーウェイの大きな特徴となっています。当社の案件は、作ったものをそのまま納品すればいいというものではなく、顧客の要求にあわせてカスタマイズするといった案件がほとんどです。顧客の課題を解決し、要求に対応した製品を納めるといった、顧客のイノベーションに寄与できる体制を整えていることが強みであるといえます。そして、もうひとつの強みにコストメリットがあります。
--コストメリットとは、低価格で製品を提供できるということですか。
いいえ、ここでいうコストメリットとは、R&Dに関するコストメリットを指します。中国のエンジニアの収入は、日本や欧州のエンジニアの4分の1です。つまり、同じ人件費をかけるのであれば、4倍のエンジニアを雇うことが可能です。4倍の技術力、4倍の速度で開発ができるともいえます。他のベンダが、「この開発にはコストがかかりすぎる」といって諦めるようなものでも、当社ならば諦めずに挑戦することができる。コストメリットは、どれぐらい製品を安くできるかではなく、どれだけの価値を提供できるかという形で表面化してくることになります。
顧客の関心は、ネットワークを構築するための費用をいかに下げるかではなく、ネットワークを運用するコストをいかに下げるかという点に移行しています。ソリューションとしての価値を提供することで、コストメリットを提供できる。ATM回線を利用するのではなく、オールIPによるFMCネットワーク環境を提案できるのも、技術力を背景にした当社の価値であり、強みです。また、基地局設備も他社が1トン、2トンという重量だったものを、省スペース化するとともに、重量を20kg程度と大幅に削減したのも、強い技術力がないと成り立たないものです。
当社のエンジニアの数は、ますます増えていくことになります。日本人のエンジニアも増えており、実際、品質管理の部長は日本人です。コストメリットを、価格ではなく、価値として提供していくのがファーウェイの基本的な考え方です。