次世代Webに向けた3つ目の"C"であるクラウドに対しては、今年4月に発表された「Google App Engine」がある。これはGoogleの持つスケーラブルなインフラ上に、独自に開発したWebアプリケーションを構築できるホスティングツールである。

グーグル ソフトウェア エンジニア 鵜飼文敏氏

Googleでソフトウェアエンジニアを務める鵜飼文敏氏は、「単にコーディングするだけではWebアプリケーションは動かせない」という点を強調する。Webアプリケーションを動作させるためにはまず機材を調達し、OSを始めとした環境を適切に設定しなければならない。また一度展開したら継続して動作させ続けることも重要で、そのためにはメンテナンスやトラブル対応、大規模化へのアップグレードなどがも必要となる。当然、そこには人的にも金銭的にも大きなコストが発生する。

これらの問題からデベロッパを開放するのがGoogle App Engineの役目である。使い方は非常にシンプルで、App Engineで提供されるIDEを用いてローカルで開発し、デプロイボタンをクリックしてGoogleのインフラ上にデプロイするだけ。管理もIDEの管理コンソール上から行うことができる。

さらに、プロダクトマネージャを務めるPete Koomen氏はGoogle App Engineに今後追加される予定の機能として以下のようなものを紹介した。

  • オフライン処理
  • 多くの言語への対応
  • リッチメディアのサポート
  • その他のインフラサービスの追加

Google Inc. プロダクトマネージャ Pete Koomen氏

Google App Engineを利用する上での料金体系についても、2週間前より大まかなプランを示している。それによれば、まずアプリケーションに対する1カ月あたりのページビューが500万程度、ストレージが500MBまでのユーザについてはすべての機能を無料で利用できる。それ以上は追加料金が必要であり、おおよそ以下の表のようになる予定とのこと。

その他、4月の発表時には登録の先着順に限定1万人の開発者への公開であったが、現在はすべての開発者が登録し利用することができるようになっている。日本の開発者向けについては多少対応が遅れているものの、間もなく利用できるようになるとのことだ。

Google App Engineのおおよその料金体系

リソース 価格
CPU 10-12¢/コア時間
ストレージ 15-18¢/GB
下り帯域幅 11-13¢/GB
上り帯域幅 9-11¢/GB