Google Inc. モバイルプラットフォーム担当 シニア ディレクター Andy Rubin氏

昨年11月、Googleをはじめとする34社が発表したオープンソースのモバイルプラットフォーム「Android」は携帯電話市場に大きな衝撃をもたらした。Googleではユビキタスなコネクティビティを実現するためのプラットフォームとしてこのAndroidに重点を置いており、基調講演では同社モバイルプラットフォーム担当シニアディレクターのAndy Rubin氏によりサードパーティと共同で開発中のプロトタイプが披露された。

以下に、プロトタイプで紹介された主なポイントを挙げる。同プロトタイプの動作する様子はGoogle Code内のAndroidサイトにてYoutube動画としても紹介されているのであわせて参照してほしい。

  • ワークスペースベースのUI
  • ウィジェットの自由な配置によるカスタマイズ
  • 完全なマルチタスク
  • サードパーティ製のアプリケーションにも対応したイベント通知アイコン
  • WebKitブラウザによるデスクトップと同様のユーザエクスペリエンス
  • 複数のアプリケーションをマッシュアップ
  • Google MapsやStreetViewの利用

Android画面上のワークスペース

Addroid上でGoogle Mapsを利用。StreetViewにもアクセスできる

Androidに対して多くの人が持つ共通の疑問は、「なぜAndroidでなければならないのか」ということだろう。これに対してAndy氏は、「Adnroidで重要なのは、そこで実現できる機能よりもむしろモバイル市場に対するイノベーションを活生化させることだ」と語っている。エンタープライズ市場やコンシューマ市場におけるイノベーションが加速し続ける中で、モバイル市場だけが置いていかれていると同氏は指摘する。Androidはその現状に一石を投じるものだとのことだ。

Androidで提供されるプラットフォームは、それ自体が素晴らしいものであることに間違いはない。しかし究極的には、これはむしろデベロッパのためのものであるといっても過言ではないのだと同氏は言う。したがってデベロッパがAndroidの上で何を実現するのかということが、大きな価値なのである。

またAndroidを語る際に必ず取沙汰されるのがAppleのiPhoneとの関係だ。折しも米国では9日に3G対応のiPhoneが正式発表されたばかりである。これについてもAndy氏は、前述のように根本の部分でAndroidとシングルプロダクトのiPhoneでは目指すものが異なり、激しく競合するものではないと語っている。またAndroidはまだ理想だけで実体が伴っていないという批判に対しても、あくまでも重要なのはイノベーションだと強調した上で、(時期は明言できないが)実際に出荷されれば早い段階で広まっていくだろうとの見方を示している。