ベンチマークを起動すると、こんな具合の画面となる(Photo04)。3DMark Vantageはこれまでのテスト同様、Graphics Testが2種類とCPU Testが2種類の合計4つのテストでスコアを算出する形になっており、ここで"RUN BENCHMARK"ボタンを押すと測定が始まるという具合だ。

Photo04:この4つのテストだけであれば、1ターン10分弱で終了する。

ところでこのPhoto04の右上に"PRESET"という項目がある。この項目が、3DMark Vantageで新規に追加されたものだ。PresetはLow/Performance/High/Extremeの4種類が用意され、各々で条件が異なってくる。

表3
Low Performance High Extreme
Resolution 1024×768 1280×1024 1680×1050 1920×1200
Multisample count 1 1 2 4
Multisample quality 0 0 1 1
Texture filtering Trilinear Trilinear Anisotropic Anisotropic
Max. Anisotropy N/A N/A 8 16
Texture quality Entry Performance High Extreme
Shadow shader quality Entry Performance High Extreme
Shadow resolution quality Entry Performance High Extreme
POM shader quality Entry Performance High Extreme
Volumetric rendering quality Entry Performance High Extreme
Post-processing scale 1:5 1:2 1:2 1:2
Disabled post-processing effects Motion Blur,DOF

表3に具体的な条件の違いをまとめてみたが、解像度のみならず、TextureのFilteringや様々なQuality、Post-processing scaleなどの比率が全部変わってくる。結果、スコアもこれを冒頭に記したものである。Core 2 Extreme QX9770+GeForce 9800GTXの場合、

Entry E19269
Performance P5925
High H3490
Extreme X2073

となっており、ここでEntryとPerformanceの値は直接比較は出来ないようになっている。あくまでEntryはEntry同士、PerformanceはPerformance同士という訳だ。

実は異なるのはこれだけではない。ちょっと話は先走るが、スコアの出し方も異なってくる。まずGraphics Testのスコアは、

の様になっている。ここでFRはGame Test 1/2のフレームレートである。同様にCPU Testのスコアは、

の様になっている。ここでOPSはCPU Test 1/2のオペレーションレートである。このスコアを元に、3DMark Scoreは、

と算出できる。さて、問題は係数のCOFFや重み付けのWEIGHTの値であるが、表4の様に定められている。

表4
Entry Performance High Extreme
WEIGHT GPU 0.75 0.75 0.85 0.95
WEIGHT CPU 0.25 0.25 0.15 0.05
COFF GT1 173.6111... ( 2500.0 / 14.4 )
COFF GT2 167.7852... ( 2500.0 / 14.9 )
COFF CPU1 5.2312.... ( 2500.0 / 477.9 )
COFF CPU2 208.3333.... ( 2500.0 / 12.0 )

係数COFFはPresetに拠らず一定であるが、WEIGHTに関してはPresetによって変化が激しい。一般的に言えば、上のグレードほどスコアに対するCPU性能の依存度が減っているということで、なので例えば液冷とかでCPUを猛烈にオーバークロックした場合、EntryやPerformanceの値はそれなりに上がるが、Highでは上がり方が鈍く、Extremeでは影響の度合いが更に減るわけだ。このあたりは、Presetのどの値を使って測定するかという判断に影響しそうである。

話を戻すが、PresetはあくまでPresetであって、細かくパラメータを変更することも出来る。それがこちらのOPTION→TEST OPTION画面(Photo05)で、PRESETに定められた以外のパラメータ(例えば設定はExtremeだが、解像度だけXGAとか)を設定が可能だ。ただこうした変更を行うと、GPU Score/CPU Scoreは算出されても、3DMark Scoreは0のままとなるので注意が必要だ。

Photo05:全パラメータはこちらで設定できる。

Optionでは、実際に行うテストを細かく設定することも可能だ。GRAPHICS TEST(Photo06)、CPU TESTS(Photo07)、FEATURE TESTS(Photo08)がそれで、個々のテストのOn/Offの設定が出来る。

Photo06:GRAPHICS TEST 1/2。テストの詳細が説明されているあたりはちょっと親切。

Photo07:CPU TEST 1/2。こちらはAIと物理シミュレーションがそれぞれ行われる。

Photo08:FEATURE TESTS。個別に細かな機能のテストを行う。こちらのテストはPRESETの設定は関係ないようだ。

テストが終わると、こんな具合に結果が表示される(Photo09)。結果の算出方法は既に説明した通りだ。この状態で結果をORB(Online Result Browser)に登録する(Photo10)か、もしくはファイル(.3drフォーマット)に格納することが出来るが、従来と異なり.3drフォーマットを読み込んでExcelに吐き出す事が出来なくなってしまった。つまりファイルでSaveしても、その結果を使うめには、

  • 画面表示を見ながら手でコピーする
  • ORBにSubmitする

のどちらかしか方法がなくなってしまった(*1)。

Photo09:PCMark Vantageまでは、ここでマウスを右クリックしてコンテクストメニューからExcelへの出力を選択することで、まとめてExcelに結果をExportできた。

Photo10:"SUBMIT RESULTS"を選択すると、こんな形でORBに結果が登録される。ここではOverallのみだが、詳細な結果を表示させることも可能。ただしテスト回数が増えると、比較とか一覧の取り扱いにはちょっと不便。

もっとも、$495.00を支払ってProfessional Editionを購入して、コマンドラインインタフェースを使って3DMark Vantageを実行すると、結果はCSVフォーマットで出力される。これを使うことで、環境を変えながらテストを行い、結果をまとめるといった事が容易に行えるようになる。筆者などがどうしてもProfessional Editionを入手せざるを得ないのはこのあたりに理由がある。

(*1)厳密に言えばもう1つ。.3drという拡張子を.zipに変更すると、普通にzipファイルとして取り扱える。これを展開すると、システム情報はSI.xml、結果はResult.xmlとしてどちらもXMLフォーマットで格納されているので、これをParseすれば取得は可能。