そんなわけで、ベンチマークなども交えつつ3DMark Vantageを総ざらえしてみた。今回は特定のハードウェアの評価を行うのが目的ではないので、CPUの優劣とかGPUの優劣をここで論じるつもりはない。ただ、大雑把に言えばほぼ実力どおりというか、それほど違和感のあるスコアは出なかったと感じている。
問題は使い方だ。無償のTrial版とか一番安いBasic版がPerformanceしか実施できないことからも判る通り、普通に使うにはPerformanceを中心にするしかないだろう。値のバラつきも少ないし、比較基準の1つとして妥当だろうとは思う。
Entryについては、これはむしろローエンド向けという感じで、普通に使うには向いてないという印象を受ける。現実問題としてEntryでは画面の劣化が著しく(特にGame Test 1はひどい。Movie01参照)、ここまで画質を落として実施する意味があるのだろうか? というのが現実的なユーザーの視点であろう。
ただローエンドグラフィックとか、統合グラフィックのベンダーとしては「事実上使い物にはなりません」とは言えないわけで、どうしても「ちゃんと3DMark Vangateが動きます」という言い訳がほしい事になる。こうした言い訳をする場合に利用できるのがEntry、と考えたほうが良さそうだ。
Extremeは逆にもう完全にハイエンド向けである。こちらはMulti-GPU構成に向いたテスト内容(特に画面のFeatureがMulti-GPU仕様になっている)であり、今後より多数のGPUを搭載したシステムが出たときの評価用、というオプションであり、今回の様に1つのGPU構成で試してもあまりメリットはなさそうだ。
どっちつかずなのがHigh。確かにPerformanceとExtremeの間には性能のギャップがありすぎるから、間を埋めるPRESETが欲しかったのは判るが、現状でもまだExtremeのギャップがありすぎ、逆にPerformanceとの差が意外に小さい。もう少し負荷を掛ける構成にすべきではなかったか? と筆者は考える。
というわけで、通常のテストはやはりPerformanceで十分であり、ハイエンドGPUのテストにはExtreme、ローエンド構成とか統合グラフィックの場合にEntryを使うといった使い分けをするのが妥当なようだ。