そのほかのInkscapeの使い方

DTP風のレイアウトデザインが可能

Inkscapeは、テキストの流し込み機能も搭載しています。流し込みようの枠の幅に応じて、自動的にテキストが改行されます。テキスト枠と写真などを組み合わせれば、雑誌のようなレイアウトを作ることが可能です(図42)。ただし、長い文章を流し込むと処理に時間がかかったり、文字幅や行間を一括変更できないなど、市販のDTPソフトに比べると機能は劣ります。簡単なパンフレット作成程度に活用するといいでしょう。今後バージョンが上がれば機能が強化される可能性もあるので期待したいところです。

(図42)Inkscapeでのレイアウトデザインの例。縦書きにも対応しているが、DTPソフトとしては現段階では物足りない

エフェクトで自動描画

Inkscapeには、さまざまなエフェクトが用意されています。使い方しだいでは、いろんな絵素材を作ることが可能です。たとえば、「エフェクト」メニューの「レンダリング」→「ランダムツリー」を選ぶと、木のように枝分かれしたパスを描くことができます(図43)。さらにパスを太くしてから枝を囲むように多角形を描いた後、「エフェクト」メニューの「パスの変形」→「Fractalize」で、木の葉のように入り組んだ形に変形できます(図44)。さまざまなエフェクトが用意されているので、いろいろ試してみてください。

(図43)エフェクトでランダムな木の枝を描く

(図44)エフェクトで葉の形状を描画した後、ノードを簡略化して、さらに色を塗った

ビットマップをトレース

写真をパスに変換することも可能です。「パス」メニューの「ビットマップをトレース」を選ぶと、オリジナル画像をパスが集合したベクトル画像に変更できます(図45)。変換後、パスを編集すれば写真を元にしたイラストを作れます。

(図45)写真を加工してイラスト調に変換できる。変換後は編集が可能

このように、Inkscapeには便利な機能が豊富に用意されています。絵心がなくても見栄えのいい画像を手軽に作れるので、画像素材作成時に重宝するでしょう。あなたも、Inkscapeでイラスト作成に挑戦してみませんか?