ところでこのオブジェクトの配置、すべてタッチペンで行っていくのですが、これがかなり便利で、ニンテンドーDSとシムシティとの相性の良さを改めて実感しました。
ただ、なぜか建物の撤去などに使うコマンドにだけアンドゥ機能が使えないという仕様になっているため、間違ってせっかく発展した町を自らの手で瓦礫の山に戻してしまうことが何度かありました。森なんかを一気に壊していくのは気持ちいいのですが、このあたり、マップのマス目が小さいこととの相乗効果でちょっとストレスになるかも(マップは拡大できますが、やはり俯瞰で見ながら造っていきたいのです)。
"タッチ"はDSの根幹ともいえる機能ですので、次回作ではぜひこの微妙なタッチ感を調整してほしいなあ。――ま、ゲームを進めるのに支障があるほどではないんですけどね。
さて、先ほどヒゲ眼鏡に言われた通り配置を進めていくと、そこにシム(人々)が登場し、生活を始めました。そして徐々に居住地が大きくなり、昔ながらの素朴な家が出来上がっていきます。
シムシティではいつもそうですが、時間の流れと共に街が発展していく過程をダラダラと眺めるのがたまらない快感。
この発展の間、僕はネットのニュースを見たり、ボーっと本を読んだりすることが多いのですが、そういった"ながら"作業で遊べてしまうのも、シムシティのすごさ。誤解を恐れず言ってしまえば、「シムシティとは究極の作業ゲーであり、"ながら"ゲー」なのです。
コマンドはすべてタッチペンで直感的に行える |
とはいえ、もちろん放置しすぎるとしっぺ返しを喰らいます。ここで、僕の育てている世界に、なんと竜巻が発生したとの情報が!
ごうごうという音と共に画面が切り替わり、竜巻にどうすることもできず逃げ惑うシムたちの姿が映し出されます。 このシムたちをタッチペンでタッチしてやると、「トブ・・・ミナ コワレル!!」というメッセージが! まだ言葉も発達していない古代をイメージしたカタカナが良い味を出しています。
下画面をタッチしてやればシムが自由に喋ります(※時代が進むとちゃんとカタコトではなくなってます) |
もちろん僕も「よっしゃ、この新世界の神が何とかしてやろう!」と意気込んで住民を助けようと試みたのですが、よく考えると僕には居住地や狩場を造る権限しかないので、結局できることといえば被害がでないように祈ることだけでした。新世界の神が神頼み……ダメだこいつ早くなんとかしないと……。
ちなみに、シムには老若男女それぞれのグラフィックとセリフが用意されていますが、喋っている内容は無難な感じのものが多かったので、次回作では今回よりもさらに「シムが生きて生活している雰囲気」を出るといいなあと思います。
と、ここまでおたおたしながらも何とか街を拡大していると、見るに見かねたのか例のヒゲ眼鏡がプレイヤーの「できること」をどんどんと増やしてくれます。安定した食糧供給をするために水稲農業用の農地を造ったり、増加してきたシムが交流するための広場を街中に造ったり、シムの生活をそっと助けてやることで、文明の発展は加速していきます。
ここまで初めての古代をドキドキしながらプレイしてきましたが、舞台が変わってもシステムの根本的なところが不変なので違和感はありません。やはりシムシティは面白い!
ところで、少し話は逸れますが、古代からスタートするという新しい試みには、開発者の密かなねらいがあることに僕は気づきました。というのも、古代から現代までの流れが、そのままゲームのチュートリアルになっているのです。
これまでのシムシティの弱点を強いて挙げるとすれば、できることが多すぎて初心者が戸惑ってしまう、ということ。
予算をいくら使って何を建てるか、あまりに選択肢が多いと最初はやはり戸惑ってしまう |
すんなりシステムに馴染めることができればいいのですが、このジャンルのゲームを遊んでこなかったプレイヤーにとっては、いきなりシムシティの複雑な街づくりのやり方を覚えるのは至難の業。
しかし、そこでつまずいてしまってはもったいない。ならば、チュートリアルそのものをゲームとして面白く遊べるように作ってしまおう、という発想が、今回の「時代を超えた街づくり」というコンセプトの裏にあるのではないでしょうか。
まずはほとんどできることがない古代でゲームの基礎を覚え、次の時代ではもう少し進んだ街づくりをマスターしていく。しかも時代が変わると配置した建物もどんどん変化していくので、新鮮な驚きも持続するという寸法です。
まさに一石二鳥の、すばらしいバージョンアップだと思います。