「山田高校」は「Y田高校」などで検索
安川氏はこの後、冒頭でも触れた学校裏サイトに話を移した。同氏によれば、掲示板などで「高校 掲示板」「中学 スレッド」などで検索すると、数多くの学校裏サイトが見つかるという。また、各学校についての掲示板が集まったサイト「ミルクカフェ」などでは、ほぼ全ての学校のスレッドがあるという。安川氏によれば、こうしたサイトでは削除依頼をする方法がきちんと用意されており、誹謗中傷が書き込まれているスレッドを見つければ削除が可能だ。
問題は、「生徒や児童が個人で開設した裏サイト」(安川氏)。こうしたサイトで誹謗中傷を見つけた教師が、安易に削除依頼をすると大変なことになる。ある学校では、削除依頼をした教師についての書き込みが裏サイトに出るようになったが、その書き込みの一つは「お前の奥さん浮気してるぞ」だった。実際は浮気などしていなかったのだが、ラブホテルに入る男女の後姿を適当に撮影、それが掲示板にも掲載されたため、本物と思い込んだその教師は疑心暗鬼になってしまった。
さらに、「お前の子ども○時に帰ってくるよな」「お前のとこの犬、不細工だよな。蹴ってやろうか」など悪質な書き込みが相次いだ。こうした書き込みを見た教師は、クラス全員が敵に見えるようになり、ついに休職に追い込まれたという。
まず、こうした裏サイトの見つけ方だが、例えば「山田高校」なら、「Y田高校」、「山・田高校」などと入力して検索する。さらに刑事事件にする場合を考え、必ずURLをメモし、そのサイト自体を保存する。
「パケット代実質100万円以上」が危険のサイン
だが、冒頭で述べたように、基本的には実名でプロバイダーに削除依頼してはいけない。管理人自体が信用できない場合も多く、上記のような被害に遭う可能性も高いからだ。安川氏は、「まず、全国webカウンセリング協議会に相談してほしい」と述べたが、このことが問題の処理の難しさを浮き彫りにしている。
さらに、子どもたちがネットいじめの加害者、被害者になっているサインとして、(1)パケット代の実質料金が100万円以上になる、(2)着信音が急にサイレントになる、の2つのケースを挙げた。
(1)の場合は、パケットは定額制がほとんどなっており表面上は分からないが、プロフや裏サイトで大量の書き込みをしている場合は、明細を見ると実質料金が100万円以上になる。
(2)の場合は、メールでいじめられているような場合、着信音が怖くなり、それまで大音量だったのが、突然サイレントになるケースであり、保護者らが気づくべき点であるという。
安川氏は講義の終わりに、「いずれの場合も、解決策はマニュアル通りに行かない。加害者になっても、いじめられたストレスからそうした行為に及んだ可能性もある。これまで話したネットに潜む危険性を大人が十分に知って、それを生徒たちに教えてほしい」と訴えた。