本作のヒットで、『エンジェル』のイメージを払拭

『吸血キラー/聖少女バフィー』や『エンジェル』のことは聞かないで、と事前に通知してきたデイビッド。しかし、インタビュー当日の彼は取材陣に『コンニチハ!』と元気よく挨拶し、着席した後も鼻歌を口ずさむなど超ハイテンション!

よく見ると、彼の両手首に漢字のタトゥーが。わざわざしていた腕時計をはずしてまでタトゥーを見せたデイビッドは、Fate(左手、"運命"の意味)とSoul(右手、"魂"の意味)の意味だと説明してくれた。でもその漢字はどう見ても"命運"と"霊"……うーん、惜しい。

それはさておき、実際のデイビッドは真面目、かつユーモアセンス抜群で、『BONES』で演じているFBI捜査官ブースに近い印象。コンビを組んで難事件を解決するブレナン役のエミリーとは、実際にとても仲が良さそう。スタジオを出るエミリーに向かって明るく手を振った後、質問に答えてくれた。

自分自身を反映したブースというキャラクター

――ブースは昔気質の刑事で、科学的な証拠を重ねていくボーンズ(ブレナンのニックネーム)とは対照的です。あなた自身とブースというキャラクターに共通点はありますか?

デイビッド・ボレアナズ(以下D)「もちろん似たところはあるよ。僕は多くの場合、自分の人生経験を通して役へアプローチする。特にこういったタイプの役ではなおさらそうだよ。彼はとても自由奔放で、皮肉屋だからね。ブースはボーンズをからかって、イライラさせるのが好きなんだ。ボーンズもそうだよ。ブレナンは仕事に対してはとても真剣だけど、機会を見つけてはブースをからかって皮肉なことを言おうとする。でも失敗するんだよね(笑)。それがブースにとってはとても楽しいんだ。このキャラクターには、自分自身の要素がたくさん入っているよ。彼と同じソックスを履いているしね(と、足を上げて見せる)。

皮肉を言い合いながらも良いパートナーシップを築き上げている2人

――あるインタビューで、ブースのキャラクターを、クラシックスターであるゲーリー・クーパー、ロバート・ミッチャム、スティーブ・マックイーンに例えていらっしゃいますね。ブースを演じる上で、参考にしたところを教えて下さい

D「僕の大好きな映画のひとつが『トム・ホーン』(1980)で、マックイーンは年老いたカウボーイを演じているんだ。年老いた将軍のような役だよ。マックイーンは最高にクールで魅力的だ。ゲーリー・クーパーとロバート・ミッチャムは、まさに男の中の男という感じだね。スペンサー・トレイシーとケイリー・グラントには、ユーモアがある。現役の俳優では、『インディ・ジョーンズ』シリーズのハリソン・フォードが好きだ。彼は男らしくて頭が良く気取りがない。ブースの役作りには、こういった地に足がついた男のキャラクターを参考にしたよ。

取材陣を気遣って、スタッフの雑談を止めさせる場面も

――デイビッドさんから見たブースの魅力について教えて下さい

D「彼は結婚はしていないけど、息子がいたりと複雑な過去を持っている。シーズン4で詳しく描かれることになると思う。具体的には、彼の父親や祖父が出てくるんだけど、僕は祖父役をジェームズ・ガーナーに演じて欲しいと思っている。そうなれば本当に素晴らしいよ。ブースは多くのことを隠しているから、彼の心の痛みがどこからくるのか、彼の過去に遡ってその理由を知りたいと思う」

――ブースは、マイボールを持つほどの大のボウリング好きというユニークな面もありますね。キャラクター設定に関して、デイビッドさんの意見が取り入れられた部分は?

D「車好きというところかな。特に、クラシックカーや馬力のある車。彼はクラシックなものが大好きなんだ。美しいアンティーク家具もね。彼はレストランでアップルパイを食べるような典型的アメリカ人だ。ジョン・ウェインに憧れているけど、彼のようにはなれないという感じ。そこがまた面白いんだよね。そして、ブースには5歳児が大人の体で歩き回っているような子供っぽいところもあるんだ」

気になる2人のロマンスの行方

――こういったドラマでは、ヒーローとヒロインが結ばれても結ばれなくても賛否両論があると思います。ブースとブレナンの関係をどう思いますか

D「僕は、この2人のキャラクターが常にお互いを負かそうとしているものだと考えている。「ラブ&ヘイト(愛憎)」になるんだ。この2人が陥る「ラブ&ヘイト」の関係を人々は気に入っていると思うよ。

――2人の間のロマンスはどうなっていくと思いますか?

D「ロマンスというのは発展していくものだ。パイロットのエピソードでは、そこにロマンスはあるけど、お互いそういった関係にならないように戦っている。ところが、シリーズが進むにつれて、2人の関係も発展することになる。例えば、ソウルメイトや恋人と意見が食い違うと大げんかになったりする。でも最終的には、いやでもお互い妥協し合って、もっと親密な関係になる、って風にね」

見つめ合う2人……でも手にはロープが。何の事件に巻き込まれたのだろうか

視聴率よりも全力を尽くすことが重要

――アメリカのテレビ業界は、視聴率至上主義ですね

D「素晴らしい内容のドラマでも局が望むような視聴率を取れないと、すぐに打ち切りになる。でも視聴率は気にしない。僕のビジネスじゃないからね。僕にとって大事なのは、居心地よく感じられるドラマや納得出来るプロジェクトを探し、それに110%力を注ぐということだ。そのドラマで驚異的な視聴率を取りたいと思って仕事を始めるわけじゃない。どんなプロジェクトであれ、楽しみたいし、自分の力を存分に出し切りたいんだ」

――こういったヒットドラマであってもシーズンが進めば進むほど、打ち切りのプレッシャーを感じるものなんでしょうか

D「俳優として、僕らはいつもプレッシャーを感じているよ。リアルじゃない瞬間をなくすために、週末には有名なアクティング・コーチの指導を受けている。"週末は休みだから、ちょっと怠けてやろう"とは思わない。仕事にプライドを持っているから、一生懸命働くべきなんだ。野球だって、負けてるからって9回に諦めちゃダメだろ? 1回と同じくらいやらないといけない。僕たちはずっと試合をしているのと同じ。あまり先のことは考えない。僕にとって、その瞬間、目の前のものを見ることの方が重要なんだ」

――日本のファンにドラマの見どころを教えて下さい

D「ブレナンとブースのテンポの早いやりとりやぶつかり合いかな。こういう人間関係や状況を経験したことがある、って共感する点が多いと思うよ。1話完結型のエピソードが好きで、キャサリン・ヘップバーンとスペンサー・トレイシーのような会話の応酬が好きなら、この番組を楽しんでもらえるよ。もちろん、法医学や文化人類学が好きな人たちにもね。法人類学や犯罪を解決することが好きな人にとっては、ドラマの最初にパズルがあって、最後にはそのパズルが解けるところが面白いと思う。その過程でこの2人のキャラクターから、緊張感、セクシュアルなテンション、エネルギー、やりこめあい……そういったものが生まれる点も必見だよ」

子供にはこんな優しい笑顔を見せるブース

デイビッド・ボレアナズ


1969年5月16日 アメリカ ニューヨーク州バッファロー出身 38歳
1993年、映画『Aspen Extreme』の端役でデビュー。『吸血キラー/聖少女バフィー』(1997-2003)でサラ・ミシェル・ゲラー扮するヒロインの相手役エンジェルを演じて大ブレイク。続いて『バフィー』のスピンオフ『エンジェル』19(99-2004)に主演し、さらに多くのファンを獲得した。現在は、『BONES-骨は語る-』と平行して、毎年映画出演も続けている

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