消費電力比較
最後は消費電力の比較。そしてGeForce 9800 GTXとGeForce 8800 GTS-512との仕様上の差はあまり無いにもかかわらず、GeForce 9800 GTXの方が40W近く消費電力が多いという結果だ。おそらくは、より高いクロックで動作させるためにGPUコアの電圧を上げているのではないかと思われる。シングルで450W、SLIで750W、3-way SLIで1000WというのがNVIDIAの示す目安であり、確かにこのあたりを目安に電源を選べば大丈夫そうである。
ところで電源に関する小ネタをひとつ。今回のGeForce 9800 GTXでは冷却効率を高めるためか、少し形状が違うがGeForce 9800 GX2と似たようなフルカバーの冷却機構を採用している。そして余計な風の逃げ道をふさぐようにPCI Express電源コネクタ等の開口部も最小限だ。そこに筆者所有の電源(8ピンコネクタが登場して間もない頃の製品)からコネクタを接続しようとしたところ、コネクタのツメの幅が広すぎて、接続できないという問題が生じた。もちろん、カッターで削って強引に接続することも不可能ではない。しかしGPUと合わせて電源の購入を検討している方は、8ピンPCI Express電源コネクタ(6+2ピンも含む)のツメ部分が6ピンPCI Express電源コネクタと同じ幅であることを確認しておくと良いだろう。
3-way SLI構築コストを大幅に引き下げる製品
今回明らかになったところとして、シングルカードで使うことを前提とするならば、GeForce 9800 GTXは、GeForce 8800 GTS-512に対してあまりアドバンテージが大きくない。実際のゲームタイトルでは、平均FPSで数FPS程の向上に留まる。GeForce 8800 GTS-512からの買い換え選択肢を想定すると、シングルカードならばGeForce 9800 GX2になるだろうし、SLIならば同じGeForce 8800 GTS-512を追加した方が現実的だ。GeForce 9800 GTXを選ぶとしたら、シングルでもSLIでもなく、3-way SLIへのアップグレードということになるだろう。こうした見方をしてしまうとGeForce 9800 GTXの魅力は乏しく見える。
しかしそれ以前の旧世代製品からの買い替えや、もちろん新規購入などであれば、話は変わってくる。まずは価格。GeForce 9800 GTXは299~349ドルと、これまでのハイエンドラインGPUと比べ大きく引き下げられている。スペック的に妥当という見方もあるが、価格的に魅力的なカードであることは確かだ。そして肝心なのは、それを手にしたユーザーは、たとえ1枚しか購入しなかったとしても、2つのSLIエッジ、つまり3-way SLIへのアップグレードが用意されている。また、3-way SLI構築にかかるコストも大幅に下がったことも事実。GeForce 8800 GTXの頃、カード1枚が10万円超であり、これが3枚だと30万円近くかかっていた。対するGeForce 9800 GTXは市場価格が3万円台後半~5万円弱。3枚購入した場合でも約15万円とこれまでの半額になる。大幅に安くなったことで、3-way SLIにチャレンジしてみようというユーザーも増えるのではないだろうか。