EMCが提供する企業インフラの仮想化ソリューションには3つのものがある。

  1. サーバ仮想化…VMware
  2. NAS(Network Attached Storage)仮想化…Rainfinity
  3. SAN(Storage Area Network)仮想化…Invista

1のVMwareはすでにおなじみの方も多いだろう。EMCの子会社であるVMwareが提供するサーバ仮想化ソリューションは現在、仮想化市場で最大のパーセンテージを占めており、世界中の企業による導入事例に事欠かない。

今回はストレージ仮想化がテーマであるため、VMwareについての話は割愛する。だが、EMCの場合、どの仮想化ソリューションにおいても、基本概念としてILM(Information Lifecycle Management: 情報ライフサイクル管理)が出てくることを覚えておきたい。これこそが仮想化の、ひいては企業のITシステム効率化において最も重要なポイントだと同社は見ているようだ。同社のエグゼクティブはよく、"情報をインテリジェントに管理する"という言葉を使ってILMを説明する。これはすなわち、"情報(データ)に格差をつけて扱う"ということにほかならない。もちろん、その"格差"はつねに変化する。だからこそ仮想化システムには"インテリジェンス"が求められる、というわけだ。

文書ファイルや画像ファイルのような非構造化データからデータベース下にある構造化データまで、すべてのコンテンツにインテリジェンスをもたせ、最適化を図り、管理コスト(時間、労力を含む)を下げる - ILMの本質を引き出すストレージ仮想化とはどういう仕組みなのか、前編では同社が提供するNAS仮想化ソリューション「EMC Rainfinity(以下、Rainfinity)」について見ていこう。2005年に同社が買収した米Rainfinity社の技術が元になっているこの技術は、非構造化データの爆発的な増加という状況とも相まって、ファイル仮想化テクノロジの中でも最も注目されているもののひとつだ。

Raifinityにはファイルレベルの仮想化を広く実現する「Rainfinity GFV(Global File Virtualization)」と、その主要コンポーネントを取り出しファイルアーカイブに特化した「Rainfinity FMA(File Management Appliance)」の2つのプラットフォームがラインナップされている。写真の筐体はRainfinity FMA