高い手ブレ補正効果。流し撮りもOK
注目の手ブレ補正だが、どのくらいの効果があるかテストを行なったところ、シャッター速度で2~2.5段程度の効果が確認できた。初めての手ブレ補正としては、十分以上の成績ではないか。下に載せたグラフがそれだが、手ブレ補正機構をオン/オフそれぞれで10カットずつ撮影し、手ブレせずに撮影できた数をまとめた。同時にキヤノンの55-250mm ISもテストしたのだが、28-300mm VCのほうが手ブレ補正は安定しているように感じた。ちなみに、補正効果は撮影者や状況によって大きく変わるので、グラフはあくまで参考としてみてほしい。
ファインダー像の見え方も両者で違う。55-250mm ISはあまり補正を感じさせない、自然な見え方なのに対し、28-300mm VCは手ブレ補正の効きが誰でもすぐにわかる。手がブレると強引に像を引き止める感じだ。このほうが効果が感じられておもしろいのだが、意図的にカメラを振ると、レンズは像を止めようとしてカクカクした動きを見せることがある。実際の撮影には問題ないものの、ちょっと気になるところか。
望遠レンズといえば流し撮り。手ブレ補正をオンにしたままちゃんと撮影できるだろうか? 本当はサーキットへ出かけたかったが、時間もなかったので近所の交差点でクルマやバイクを撮影してみた。結果はというと、全く問題なかった。手ブレ補正をオンにしたまま、普通に流し撮りができる。Kiss X2のフォーカスが速いこともあるが、けっこう気持ちよくシャッターが切れた。
【手ブレ補正】
手ブレ補正のテスト |
オン/オフを切り替えて、どのくらいのどのくらい止まるかを調べた。だいたい2~2.5段の効果が確認できた |
28-300mm VCの切り換えスイッチ。しかし手ブレ補正は入れっぱなしでも特に悪影響は感じられなかったので、オンのままで大丈夫だろう |
望遠側がいい。ただし絞りに注意を払いたい
では撮影した画像はどうだろうか? 10倍以上のズームともなると、光学的に大変だろうというのは予想できる。これもキヤノンの55-250mm ISと比較してみた。
望遠側で比べてみると極端な差はなく、いい勝負であることが伺える。55-250mm ISのほうが若干ヌケがよく、クリアな像になる。像の輪郭部に発生する色収差も28-300mm VCのほうが目立つ。しかし55-250mm ISは望遠端・絞り開放で明らかな周辺光量落ちが発生する。28-300mm VCのほうが安心して開けられるはずだ。
広角側では55-250mm ISのシャープさが際だってくる。28-300mm VCはそれに比べると、少々ゆるく、濁ったような画像になる。やはり望遠側を中心にセッテングしてあるのだろう。絞りを開けてやればシャープさは戻ってくるが、周辺での像の流れは強くなる。ちょっと悩ましい。
望遠側で遠方を撮影すると、55-250mm ISでは平行線がガタガタに歪むことがあった。空気の影響かと思ったが、28-300mm VCではそういったことは起らなかった。また、28-300mm VCは総じて絞りの影響を受けやすいように感じた。絞りを開けた場合の像の流れだけでなく、逆に絞り込んだときの回折現象などもけっこう現れる。よりきれいに撮影したいなら、絞りに注意して撮影したい。
不思議なのは、広角側で明らかに画角が異なることだった。55-250mm ISに合わせ、広角は55mmで撮影したのだが、明らかに28-300mm VCのほうが広い範囲が写っている。Exifを見ても両方とも焦点距離は55mm。どちらかの情報が間違っているのだろうが、判断はできなかった。焦点距離250mmではほぼ画角は同じになった。
【描写比較】
※撮影データ:Kiss X2 + 28-300mm VC / Large+Fine(JPEG) / 55mm(88mm相当) / 絞り優先AE / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード
※撮影データ:Kiss X2 + 55-250mm IS / Large+Fine(JPEG) / 55mm(88mm相当) / 絞り優先AE / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード
※撮影データ:Kiss X2+28-300mm VC / Large+Fine(JPEG) / 249mm(398mm相当) / 絞り優先AE / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード
※撮影データ:Kiss X2 + 55-250mm IS / Large+Fine(JPEG) / 250mm(400mm相当) / 絞り優先AE / ISO 100 / WB:オート / PS:スタンダード
【望遠撮影の部分拡大】