タムロンの高倍率ズームレンズ「AF 28-300mm F/3.5-6.3 XR Di VC LD Aspherical [IF] MACRO Model A20」(以下、28-300mm VC)は、同社として始めて手ブレ補正機構「VC」を搭載したモデルとして注目を集めている。今回、このレンズと最新のキヤノン 「EOS Kiss X2」を組み合わせて試すことができたので報告したいと思う。3月20日現在、28-300mm VCの価格は7万円弱。マウントはキヤノン用とニコン用(今春発売予定)が用意されている。
旅行などに最適な高倍率ズームレンズ
タムロンの28-300mmといえば、高倍率ズームの定番レンズとして長く人気を博してきた。もちろん現在も発売されている。「28-300mm VC」は、これにタムロン初となる手ブレ補正機構を搭載したレンズだ。ちなみに「VC」は"バイブレーション・コンペンセーション"の略だという。
また、タムロンの「Di」レンズはフィルム/デジタルカメラの両方に対応しているという意味で、APS-Cサイズの撮像素子を使うデジタルカメラ専用というわけではない。フルサイズのデジタルやフィルムカメラでも使用できる。ただし、EOSの旧モデルなどでは一部手ブレ補正が使えないモデルがあるという。詳しくはタムロンの情報ページを参照のこと。
高倍率ズームのメリットは、持ち歩くレンズ本数を減らせること。旅行などはできるだけ荷物を減らしたいもの。28-300mmものズーム幅があれば、どんなシーンでもこの1本で撮影できてしまう。レンズ交換の手間が省けるのもメリットだ。また、これだけ望遠側が伸びると、スポーツ撮影も可能になる。APS-Cサイズの撮像素子を使用するデジタルカメラなら、35mm版換算で約450mm相当、キヤノン系なら480mm相当までの望遠撮影が可能になる。子供の運動会はもちろん、サーキットでのレース撮影など、被写体に近づけないシーンでは強い味方になってくれるはずだ。
【望遠を活かした写真】
【焦点距離による画角の変化】
※撮影条件:Kiss X2+28-300mm VC / Large+Fine(JPEG) / 絞り優先AE(F5.6~6.4、1/500~1/800秒) / ISO 200 / WB:オート / PS:スタンダード
標準レンズより太め。AFは十分な速さ
28-300mm VCの重さは555g。Kissクラスの標準レンズと比べると、ひとまわり太く、重い。それなりの手応えを感じる。しかしKiss X2との組み合わせは悪くない。キヤノンマウントは元々太めであり、Kiss X2も従来機よりしっかり感を増したこともあって、いいバランスに収まってくれる。
ホールドは太めの鏡胴を左手で握るスタイルになる。望遠ではレンズがずいぶん伸びるが、先端は回転しない。Kiss X2に装着すると、望遠端まで伸ばした状態で、ちょうどズームリングあたりに重心が来る。左手はボディ下よりも、レンズ下に置いたほうが安定するだろう。また、しっかりしたフォーカスリングを備えており、マニュアルフォーカスも快適にこなせる。
オートフォーカスは快適。ジャーという駆動音は聞こえるが、それほどうるさくはない。テストこそ行なっていないが、感覚的にはキヤノンの「EF-S 55-250mm F4-5.6 IS」よりもピント合わせが速いように感じた。
もうひとつ便利なのはマクロ性能だ。本格的なマクロレンズのような等倍撮影こそできないが、これだけの高倍率ながらズーム全域で0.49mまで近づいて撮影できる。最大撮影倍率は0.33倍だ。遠くのものを狙っていて、ふっと近くの花などを狙う場合も、レンズ交換どころか、ズームも変えずにそのまま撮影できる。ピントが合うのを待つだけでいい。