発熱には要注意
最後に消費電力と発熱をチェックしてみよう。消費電力は「ワットチェッカー」によるシステム全体の消費電力の比較を行い、発熱はnForceドライバに含まれる「NVIDIA System Monitor」および「ATITools」を利用してGPU温度を測定している。
消費電力は予想通り……というか、さすがデュアルGPU搭載というべき他はない。HD 3870 X2よりもちょっと低い程度だが、アイドル時の消費電力では逆に負けている。GPUのパワーセービングという点ではまだAMDに学ぶところがありそうだ。
既にネット上には9800 GX2を使うには「12Vラインが40A以上ある580W以上の電源ユニット」が必要である、との情報が流れているが、あながち嘘ではなさそうだ。
GPU温度もさすがハイエンドGPUといった感じだ。このテストに着手した時はいつもの癖でバラック組み状態でベンチを回していたのだが、9800 GX2にした途端にベンチ中にドライバが落ちる。案の上、落ちた瞬間のボードはかなりの熱を持っていた。
結局、先に紹介したThemaltake製のケースに入れて最終的に実験を終えた訳だが、ケースの前後でファンをキッチリ回すのはもちろん、GPUの上から直接風を送り込むケースは必須だと強く感じた。HD 3870 X2をテストした時も同じ印象を持った記憶があるが、同じデュアルGPU構成をとる9800 GX2でも同じ轍を踏んでしまったようだ。ただしファンノイズは9800 GX2の方が小さく、快適度は(熱を無視すれば)まずまずといったところだ。
性能を活かすにはそれなりの準備も……
いい意味でも悪い意味でも9800 GX2は最近のGeForceファミリーにはない、型破りな雰囲気に溢れているGPUとなっていることは確かだ。
だが、この怪物を迎え入れるには、それなりの準備が必要となるだけに、"ゲーマーなら買え!"と簡単には言い難い。出力するディスプレイの解像度はもちろんだが、これを養う電源ユニット、さらにこれをキッチリ冷やしてくれるケースも揃えなければならないからだ。
加えて前述の通り、9800 GX2の価格は8万円前後。それを考えると、9800 GX2は費用対効果的にかなり高めのGPUになってしまったなあという感が拭えない。むしろそこそこ速い8800 GTS 512の良さが際立ってしまったともいえる。最高クラスの性能を備えていることは間違いないのだが、ハイエンドユーザーの悩める日々は続きそうだ。