Warrior XxtremeはPCゲームプレイ専用のキーボードである。特にFPSと呼ばれる射撃系アクションゲームのプレイヤーなら、この奇異な配列にピンと来るはずだ。キャラクターの移動操作が似ているMMORPGのプレイヤーも納得するだろう。しかし、マウス操作中心のゲームには使いにくい。使い道を限定したキー配置だ。
そもそもゲームプレイヤーにとってキーボードは文字を入力するための道具ではない。ゲーム画面の中のキャラクターに命令する装置である。FPSの場合、キーボードはキャラクターの移動や動作を命令するために使う。この操作はすべて左手で行われる。右手はマウスを持ち、射撃専用の操作を行う。照準を相手に合わせてクリックボタンで撃つ。ホイールで武器を切り替える。つまり「Warrior Xxtreme」は左手専用のキーボードだ。
手首に負担がかからない配置
ふたつの円盤を並べたキー配列の左側を見る。ここでもっとも重要なキーは[W]、[A]、[S]、[D]キーだ。これはPC用FPSゲームにおいて、家庭用ゲーム機の十字ボタンの役割を果たす。[W]と[S]キーが前後の動き、[A]と[D]キーが左右の動きである。この仕様はPCゲームでは定番となっており例外は少ない。したがって、ほとんどのゲームプレイヤーは[A]キーに薬指、[D]キーに人さし指を置き、中指で[W]と[S]キーを操作する。
一般的なキーボードはこれら[W][A][S][D]キーが凸型に配置されている。PCゲームではこれを十字キーに見立てている。しかし[W]と[S]キーが斜めに配置されているため違和感がある。不満だが、もともと文字を打つために設計されたキーボードでゲームをプレイするから仕方のないことだ。これに対してWarrior Xxtremeは[W]と[S]キーが真っ直ぐに並ぶ。FPSプレイヤーはこれだけで使いやすいと感じるはずだ。
筆者も初めて「Warrior Xxtreme」のキーデザインを見たときには驚かされたのだが、いざ使用してみると説得力のある配置だと感じた。[W]、[A]、[S]、[D]以外のキーもよく考えられている。例えば[W]の左の[Q]キーは「バトルフィールド」というゲームでは無線の定型文の呼び出しに使われる。[W]の右の[E]キーは多くのゲームでドアの開閉や車両の乗降に割り当てられている。その隣の[R]キーは弾丸の装填(Reload)だ。このように、フラッシュライトの[F]キー、チャットを起動する[K]と[T]キー、伏せる際の[C]キーなど、使用頻度の高いキーが指をちょっと伸ばしたところにある。
特にうれしい部分は[Tab]、[Shift]、[Ctrl]キーの位置だ。[Tab]キーはオンライン対戦でプレイ中のメンバーを参照するために使うキー、[Shift]キーは「走る / 歩く」の切り替え、[Ctrl]キーは「しゃがむ」だ。ゲームによって割り当てが変わるとはいえ、いずれも使用頻度が高い。これらのキーは一般的なキーボードでは主に小指で押すことになるが、[W][A][S][D]キーの指を置いたままだと手首を不自然に曲げることになる。それが「Warrior Xxtreme」ではスムーズに押せる。
右側は文字打ち用のフルキー
ゲームでは文字入力も必要である。仲間との連携にはチャットも大切だ。そのための文字打ち用のキーが右側の円形配列である。見ているだけでクラクラしそうだが、よく見ると上半分と下半分でフルキーの配列になっている。よく考えられているけれど、こちらはゲームプレイヤーであっても慣れるまで苦労しそうだ。特に日本人にとっては漢字変換関連のキーがないところが辛いところだ。ちなみに私は絶滅危惧種のかなタイプ派なので文字打ちはほぼ不可能だ。文字入力は従来のキーボードを合わせて使いたいという人には、左半分のみの機能を装備した姉妹製品「Warrior」を使うと良いだろう。
ゲームプレイに特化した「Warrior Xxtreme」の優れたところは、不要なキーを徹底的に排除したところだ。左側のキー配列をよく見ると、[I]、[L]、[P]、[U]、[V]、[Y]キーがない。使用頻度の低いキーを外すことで、必要なキーを大きくしたのである。さらに、[Windows]キー、[PrintScreen]、[ScrollLock]キーもない。英語圏の製品だから、[かな]キー、[無変換]キーなどももちろんない。このうち、[Windows]キーの撤去はゲームプレイヤーにとって大いに歓迎される部分である。フルスクリーンでゲームを楽しんでいる場合、うっかり[Windows]キーを押してしまうと、画面がデスクトップに切り替わってしまうからだ。ゲームプレイだけを考えて、不要なキーを置かない。なんとも潔い話である。