2007年に目立った韓国企業との争い
中国のオンラインゲーム市場は、その黎明期から韓国のオンラインゲーム企業と手を携えて歩んできた。しかし、2007年になると、長らく共に歩んできた中韓のオンラインゲーム業界の関係に、さまざまな亀裂が目立って来た。
まず、久遊網と韓国のT3 Entertainmentとの間に起きた「Audition」(日本では「ダンシングパラダイス」としてネクソンジャパンが運営)の利益配分を巡る紛争のせいで、日本での上場計画が流れてしまった。また、中華網遊戯(CDC Games)グループと韓国のゲーム開発企業Mgame Corporationとの間で起きた、「熱血江湖」の代理権を巡る紛争は、結局裁判にまでなっている。
中国企業にとってみれば、裁判ざたになるような対立が度々起きたことで、「海外のオンラインゲームを代理運営する」というビジネスモデルそのものが抱えるリスクを考え直す契機となった。これらの紛争を解決する過程で、研究開発力の強化と知的財産権を保持した自主開発製品の立ち上げこそが、経営の本当の"後ろ盾"になることに気付いたのである。
こうした反省に立った各社は、昨年数多くのオンラインゲームの大作を開発、発表した。2007年の国産オリジナルオンラインゲームは大豊作で、これらが占める国内市場シェアは飛躍的に増大した。対照的に、日韓など海外のオンラインゲームのシェアは下げ止まらず、特に、かつて絶対的な強さを誇った韓国オンラインゲームの凋落が目立つ結果となった。
国産のオンラインゲーム、それも最も目立つ存在といえる巨人網絡を例にしてみると、「征途」の1日の最大ゲーム参加人数は、昨年何回も新記録を更新し、CEOである史玉柱氏の独特なマーケティング戦略もあり、見事にニューヨーク証券取引所に上場した。自主開発された国産オンラインゲームの急成長は、中国市場で従来大きなシェアを占めていた韓国ゲーム業界に、大きな衝撃をもたらしたのである。