今回は積極的に素材収集の道具に徹してみた。筆者にとって、素材集めの道具としてのデジタルカメラは小さくて操作が簡単であるほうが望ましい。一眼レフは持ち運びに気軽さがなく、撮る際にも構えすぎてしまうためにいい感じの素材を集めることが意外に難しいのだ。素材収集が目的の撮影なら、イラスト用のスケッチをする感覚なので多少ブレていても構わない。そんなわけで筆者は、基本的にストロボの発光は常にオフにしている。もちろん高感度でブレを防止をすれば綺麗な写真を撮ることはできるが、あえてブレを発生させることで楽しんでいる。その臨場感を大切にしたいからだ。なお、今回の撮影は、映像に効果を出すために手ブレ軽減機能をあえて設定しないで撮影しているケースが多いが、一般撮影では設定をオンにしておくことをお勧めする。

動物やペットを素材として撮る

動物やペット相手の撮影は、相手に警戒心を起こさせないことが大切。大袈裟な一眼レフを使わずに小さな「EX-S10」で撮影すると警戒心を持たないことが多く、かなりの至近距離からの撮影でも成功する可能性が高い。また動物は、一発勝負で撮るのは難しいので複数カット撮影しなくてはならず、携帯電話での撮影は撮影音や連写の関係で不向きである。

最近体調不良なのか顔色? が悪い近所に住み着いている野良猫。かなり近くでの撮影に成功した。連写機能を利用すると成功率はさらに高くなる

スケッチ感覚で撮影した猫を思い切りレタッチし、最低限の作品としての体裁を整えてみた。筆者の仕事の処理の流れとしては、まだこの状態はスケッチの段階である

ローアングル画像を素材にする

ローアングルやハイアングルからの撮影でも液晶モニタが大きいのである程度の構図は確認することができるが、小さな手鏡を液晶モニタと組み合わせて使うと効果的かもしれない。手ブレ軽減機能を利用すれば、かなり無理な姿勢でも綺麗な写真を撮ることができる。ただし、社会的に誤解を招くような撮影は注意したほうがいい。

小さな竹林をローアングルからノーファインダ撮影。例えば握り拳がやっと入るような隙間にもカメラを設置することができるので、いままで撮影しにくかったローアングルも積極的に挑戦できるようになった

左の写真をイラスト風に加工。完成イメージを想像して撮影しているので、処理に時間がかかることはない

街中の風景を素材にするには

無理な姿勢の撮影でも日中であれば手ブレ軽減機能でかなりブレのない写真を撮ることができる。また、曇りあるいは朝夕といった太陽の光量が少ない場合は、電信柱や樹木にカメラを押し付けるなどして、カメラを固定すると随分楽に撮影することが可能だ。

コンクリートの壁面近くに生えている木を見てイラストのイメージが湧いたが、交通量が多くアングルが苦しい状況だった。しかし、手ブレ軽減機能のおかげでほとんどノーファインダの撮影でもかなり満足の行く結果を得ることができた

左の写真に対して抱いてイメージを忠実にイラスト化した作品

次に動画やあえてブレを利用した素材収集にチャレンジしてみよう。