「仕上がり」はモードで色が大きく変わる

カラー設定の「仕上がり」は、白黒写真となる「モノトーン」を除くと4種類が用意される。標準は「ナチュラル(NATURAL)」だが、これでも彩度は少々高めだ。「ビビッド(VIVID)」は極端に鮮やかになり、使用するシーンを選ぶ。風景でもナチュラルで十分だろう。ただしビビッドでは色を乗せるためか、同じ露出でも明度の高い部分が少しアンダーぎみになるようで、少し白飛びが抑えられる。「フラット(FLAT)」では、赤い部分に青が乗り、青い部分は彩度が下がるようだ。彩度の高い赤い部分を見ると、ナチュラルで補色が残っているのに、フラットでは緑の階調がなくなった。"素材性を重視"ということだが、ちょっと違う色調のモードと思ったほうがいい。「ポートレート(PORTRAIT)」は赤に黄色が乗る。顔が青黒くなるのを嫌ったためだろう。彩度が低いわけではなく、色のバランスが変わる。

比較しながら見ていくと、「ポートレート」はやはりポートレート撮影に、「ビビッド」はよほど色の少ないシーン向きと考え、通常は「ナチュラル」と「フラット」を使い分けるのがいい。また、各モードで微調整も可能であり、好みの色づくりを登録する「カスタム」も用意されている。

「モノトーン」は白黒写真になるが、フィルター効果や調色機能も用意されている。フィルター効果を使って青空や夕日を強調したり、調色でセピア調の写真に仕上げることも簡単にできる。

オートホワイトバランスは悪くない。日陰などでもおかしな色になるようなことはなかった。ただ、非常に敏感に反応する傾向があり、少しフレームを変えただけで色ががらりと変わることもあった。もう少しいい意味でダルいといいのだが。また、ホワイトバランスは2方向の補正が可能。A方向(赤←→青)、G方向(緑←→赤紫)を細かく設定できる。

「仕上がり」は5種類+カスタムから選択

さらに、各モードでコントラストなどの調整が可能

「VIVID」で撮影
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 33mm(66mm相当) / L+SF(JPEG) / マニュアル(F4.5、1/125秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:VIVID

「NATURAL」で撮影
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 33mm(66mm相当) / L+SF(JPEG) / マニュアル(F4.5、1/125秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

「FLAT」で撮影
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 33mm(66mm相当) / L+SF(JPEG) / マニュアル(F4.5、1/125秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:FLAT

「PORTRAIT」で撮影
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 33mm(66mm相当) / L+SF(JPEG) / マニュアル(F4.5、1/125秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:PORTRAIT

「モノトーン」で撮影
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 33mm(66mm相当) / L+SF(JPEG) / マニュアル(F4.5、1/125秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:モノトーン

きれいな風景だったが、VIVIDで撮影したら鮮やか過ぎ、質感が失われてしまった
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 42mm(84mm相当) / L+SF(JPEG) / プログラムAE、補正-0.3EV(F3.8、1/500秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:VIVID

こちらはNATURALで撮影。これでも十分に鮮やか
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 12mm(24mm相当) / L+SF(JPEG) / プログラムAE(F4.5、1/320秒) / WB:オート / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

新しいオリンパスの色

さて、E-3の絵づくりだが、E-510までのオリンパスとはずいぶん違うようだ。常に赤みが勝つ特性は姿を消し、青く、抜けの良い絵づくりとなった。彩度が高い色でも主たる色を張りつかせない特性や、夕景などのアンダーな状況では以前のキャラクターが垣間見えるが、実質、別物としていいだろう。

マクベスチャートを露出を変えて撮影した「ダイナミックレンジ」のグラフ見ると、従来モデルに比べて明るい色と暗い色の明度差が少なく、グラフのカーブそのものも直線的なものになった。また、以前はマゼンタのカーブが常にシアンより上にあったが、E-3ではほぼ重なり、明るい側ではシアンが上に位置している。といっても、従来のオリンパスのグラフが特徴的なのであって、むしろ、一般的な特性になったというべきだろう。

E-3は、青は青として、赤は赤としてしっかり色を乗せようとする。それはプロ機として当然ともいえるキャラクターだろう。ふわっと色が抜けていくオリンパスのあの感じはすでになく、少々寂しい気もする。しかし、やさしさを卒業して強く逞しくなったのだから、前向きに捉えたいと思う。ここがオリンパスの新しいスタート地点なのだから。

彩度の高い被写体を「仕上がり」を変えて撮影し、○の部分のヒストグラムをまとめたのが右のグラフ
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 33mm(66mm相当) / L+SF(JPEG) / マニュアル(F8、1/60秒) / WB:マニュアル / ISO 100

VIVIDでは完全に補色がなくなり、主色(赤)のみになった。従来は補色がなくなるということはなかったのだが。また、NATURALとFLATでは補色の与え方がずいぶん違っている。実際にはFLATでは赤に青がのってくる

マクベスのチャートを露出を変えて撮影し、各色の明度をまとめたのが右のグラフ。露出はシャッター速度で変更している
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 42mm(84mm相当) / L+SF(JPEG) / マニュアル(F4) / WB:マニュアル / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL

従来のオリンパス機よりも各色のカーブが並行に近くなった。露出を変えてもバランスが変わりづらく、白飛びも少ないはず。また、従来は常にシアンよりもマゼンタのカーブが上にあったが、E-3はむしろシアンが上に来ている

ホワイトバランスは、「日陰」などの名称よりもケルビン値を表記するオリンパス流

ホワイトバランスの補正は2軸で調整可能。サンプル画像も表示できる

同一条件でホワイトバランスを変えて撮影した
ED 12-60mm F2.8-4.0 / 20mm(40mm相当) / L+SF(JPEG) / 絞り優先AE(F3.5、1/50秒) / ISO 100 / 仕上がり:NATURAL