オリンパスのプロ仕様のデジタル一眼レフカメラ「E-3」。頑強なボディと高速なオートフォーカスを備えた魅力的なカメラである。このE-3をレポートしよう。E-3の発売は2007年11月23日。価格はオープンだが、価格情報によると平均20万円弱で販売されているようだ(1月末現在)。また販売は本体のみで、レンズとのセット販売は行なわれていない。
冒険に耐えるプロ用フォーサーズモデル
オリンパスとコダックがデジタル一眼レフの規格「フォーサーズ」を提唱したのが2002年9月。そしてフォーサーズを初めて採用したのがオリンパスから2003年10月に発売された「E-1」だった。E-1はコンパクトなボディながら、高い耐候性とゴミ取り機構「ダストリダクションシステム」を装備するなど、アウトドア系カメラマンを中心に高い人気を得た。
その後オリンパスからはE-300やE-500、そして現行モデルであるE-410、E-510など、多くのデジタルが一眼レフが登場したが、プロ仕様のカメラはなかなか姿を見せず、E-1の後継機が長く待たれていた。そしてE-1から4年を経て登場したのが今回の「E-3」である。
E-3の登場により、オリンパスの現在のデジタル一眼レフのラインナップは、E-3、E-510、E-410という3台体制となった。他社のように性能で上下に並ぶのとは少し違い、E-510とE-410は同じような性能のため、三角形を描くようなイメージだろうか。しかしE-3の発表会レポートでも紹介したが、E-410=トリップ(Trip)、E-510=ジャーニー(Journey)、E-3=アドベンチャー(Adventure)と、それぞれの位置づけはしっかりしていてわかりやすい。つまり、スナップ撮影やちょっとした旅行にはE-410、本格的な撮影や長期の旅行にはE-510、そしてプロユースや冒険にはE-3というわけだ。そう、E-3は冒険にも耐えるカメラなのである。
トップレベルの防塵・防滴性能
E-3の特長をまとめてみよう。E-1から受け継いだものとして、まず超音波によるゴミ取り機構と高い防塵・防滴性がある。マグネシウム合金製であることも共通だ。E-1の防滴性というと、某ネイチャー系写真家の撮影に同行したことを思い出す。大雨の山の中、E-1を三脚に付けたま肩に担いで歩き回っておられたが(レインカバーなし)、そんな状況でもE-1はなんともなく、快適に動作していた。E-3の防塵・防滴性は残念ながらテストできないが、この点は信頼して大丈夫だろう。
E-3のマウントはもちろんフォーサーズ。撮像素子には有効1010万画素の「Live MOSセンサー」を使用する。連写速度はE-1の秒3コマから秒5コマに高速化されたが、最高シャッター速度が1/4000秒から1/8000秒になったほうがうれしいかもしれない。
ボディ内手ブレ補正も強化された。撮像素子だけでなくゴミ取り機構も動かさなければならないため、重量的に不利になるはずだが、かなり強力なモーターで動かしているのだろうか、シャッタースピードで最大5段分も補正する。現在、最高クラスの補正量である。
プロ機らしく、レリーズ時の速さも追求している。レリーズタイムラグは約60ms、ファインダー像消失時間は100msを実現している。ニコンやキヤノンのプロ機にはこれより速いものもあるが、とりあえず充分な速さだろう。ファインダー視野率は100%を実現している。
強力なオートフォーカス性能
E-3が最大の特長としてプッシュしているのが11点ツインクロスセンサーによる「世界最速」(後述)のオートフォーカスだ。プロ用で11点というと少なく感じるかもしれない。しかしそれぞれのAFポイントに2ラインのセンサーを並べ、さらにクロス配置とすることで、計44の測距データを元にピントを合わせている。これなら数としても充分だろう。他社製カメラがAFポイントを広く配置するのに対し、E-3は見かけ上のAFポイントの数よりも、それぞれのAFポイントでの測距性能を重視したわけだ。
合焦の速さは、新しい超音波駆動のレンズに寄るところも大きいようだ。E-3と同時に「ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD」「ED 50-200mm F2.8-3.5 SWD」「ED 14-35mm F2.0 SWD」の3本のレンズが発表されたが、このうち「ED 12-60mm F2.8-4.0 SWD」をE-3に装着し、テレ端で撮影した場合、世界最速のオートフォーカスになるのだという(2007年10月17日現在、オリンパス測定条件による)。"世界最速とはまた大きく出たな"と思ったが、それだけ自信があるということだろう。
また、E-3はライブビューを搭載した点も新しい。しかも2軸可動式のモニターで、どんなアングルでもモニターを正対して見ることができる。このライブビューについてはのちほど触れよう。