まずテスト環境をまとめておこう。当初オーバークロックを目論んでいたため、マザーボードはASUSTeK M3A32-MVP Deluxe、CPUクーラーはASUSTeK Silent Square EVO、そして掘り起こしたGeForce 6800とWD Raptorという無茶な構成だ。そのため基本となる電力量は高めである。

CPU Phenom 9600 Black Edition
CPUクーラー ASUSTeK Silent Square EVO
マザーボード ASUSTeK M3A32-MVP Deluxe
メモリ DDR2-800MHz(1GB×2)
グラフィック GeForce 6800
HDD WD Raptor 74GB(SATA)
光学ドライブ 東芝/TS-H653(SATA)
OS Windows Vista Ultimete 32bit(日本語版)

ASUSTeK M3A32-MVP Deluxe マザーボード。AMD 790FXチップセットを搭載したハイエンド向け製品で、メモリ冷却用のヒートパイプも装備する

ASUSTeK Silent Square EVO CPUクーラー。5本のヒートパイプを持つ大型CPUクーラー。フィンの内部に9cmファンを搭載している

そしてPhenom 9600 Black Editionの基本仕様。

製品名 Phenom 9600 Black Edition
コアクロック 2.3GHz
ベースクロック 200MHz
クロック倍率 11.5倍
CPUコア電圧 1.250V
TDP 95W

ではこれを基本とし、第1ステップとして200MHz×11.5倍のままどこまでコア電圧を下げられるのかを試してみた。この電圧設定はBIOSのCPU Voltageを変更して行っている。なお、クリアの条件は 1. AMD OverDrive(v2.10)内Benchmarkの完走、2. Futuremark PCMark Vantage内PCMark Suiteの完走とした。さらに消費電力に関してはワットチェッカーを用いAMD OverDrive Benchmark実行中の目測値のピークを示す。

コア電圧のテストは定格の1.2500Vからはじめ、1.2000→1.1500→1.1000Vと順調に下がっていったが、1.0750VでWindows起動時にエラーが発生した。M3A32-MVP Deluxeでは0.0125V刻みでコア電圧が設定できるためさらに詰めていくと、1.0875Vでも数回に1回ほど起動に失敗することがあり、これが無事に起動してもPCMark Vantageのような高負荷なベンチマークの実行中でエラーを起こした。そのため、今回の構成で安定動作するコア電圧は1.1000Vと見た。各設定時のスコアを下にまとめるが、メモリスピードのみ若干のバラつきが出ているものの、各電圧での2.3GHz駆動において、エラー無くスコアがとれていることが確認できるだろう。

2.3GHz(200MHz×11.5)・コア電圧1.1000V時

消費電力は定格の1.2500Vでおよそ165W。これに対し1.1000Vでは149Wとなり、CPUコア電圧を下げるだけで15Wほどの削減ができた。同じパフォーマンスで15W削減できたと考えればまずまずの成果だが、15Wというと95WのPhenomが80W程度になったに過ぎない。そこでTDP 65Wを目指して更なる低電力化を目指していこう。

CPUコア電圧 1.2500V 1.200V 1.1500V 1.1000V
PCMark Vantage(PCMarks) 4486 4413 4405 4441
AMD OverDrive(Integer) 12280 12280 12280 12280
AMD OverDrive(Floating Point) 4363 4338 4354 4371
AMD OverDrive(Memory Speed) 1590 1780 1610 1680
AMD OverDrive(Cache Speed) 10750 10810 10810 10740
CPUコア電圧 1.2500V 1.200V 1.1500V 1.1000V
Benchmark実行時の消費電力 165W 160W 154W 149W
※GPUもフルロードするベンチマークでは今回の構成の場合さらに30Wほど消費電力が高くなるので注意