見た目の解像力は高い
D200では、若干画像が甘い傾向があったため、輪郭強調をいつも強めにして使用していた。D300では200万画素以上も画素数が増えているが非常にシャープな絵になった印象だ。しかし今回解像力チャートによるテストでは1700TV本程度の解像力となってしまった。これはAF-S DX VR 18-200mm F3.5-5.6Gで撮影したためのようだ。全体的に像がゆるくなってしまった。D200+AF-S DX 18-70mm F3.5-5.6Gでのテストでは1800TV本を超えていたため、同じレンズを使えばさらに解像力は上がると思われる。
解像力チャート |
早くはないが堅実なAF性能
D300にはD3と同じ51点AFセンサーが奢られている。フォーカスには1点のみを使うシングルAFのほかに、多点を同時に使って補完しながらフォーカシングを行うダイナミックAFや、AEに使用する1005分割RGBセンサーを使ったシーン認識システムなど、高度なAF機能を持つ。
オートフォーカスのテストでは、全体的にずば抜けて早いわけではないが、諦めることなくきっちりフォーカスを合焦させる、これまでのニコンのカメラで共通して見られる傾向となった。斜線の被写体ではシャッターが切れないケースがあったがこれはD300だけではない。ただ、テストでは中央1点のAFセンサーのみを用いているため、動体などになればもっと良い結果になるだろう。
モードによって大幅に絵作りを変える色作り
色の高彩度被写体を撮影し、その赤い部分のヒストグラムを取得して傾向を調べてみた。スタンダード、ニュートラル、ビビッドと、ピクチャーコントロールの変更でかなり色が変化する設定のようだ。スタンダードは彩度の高い色を飽和させ、補色で階調を得る設定になっている。つまり主たる色が飽和しているため、レタッチするには適さない。これに対し、ニュートラルでは一見濁っているようだが、ちゃんと彩度の高い赤い部分でも赤(R)の階調が残されている。ビビッドではニュートラルよりもさらに鮮やかなのは当然として、青よりも緑が下がり、全体の色を見ても青味が強くなっている。これは抜けをよくするためだろう。
さらにマクベスのカラーチャートを異なる明るさで撮影し、輝度の変化を調べることで色ごとのダイナミックレンジを計測した。それをグラフにしたのが以下のものだ。D200ではカーブは直線的なものとなり、+3EVでは輝度が100%を超え白飛びをしていたが、D300ではたおやかなカーブを描き、ぎりぎり100%を超えていない。これはD80以降のニコンの色造りに見られる傾向だ。メリハリを付けつつも、白飛びしづらい設定になっている。
大幅に画質が向上した高感度撮影画像
ISO感度の変化によるノイズを調べてみた。D300にはISO 800以上の感度で撮影したときに動作する「高感度ノイズ低減」という機能があるが、ここでは「OFF」「弱め」「標準」「強め」のすべてを比較した。画像は撮影した画像を100%のまま640×480ドットに切り出してPhotoshopでJPEGの最低圧縮率(最高画質)で保存した。
これを見ると、確かに全体にノイズが減ってはいるが、「高感度ノイズ低減」の効果も大きいことがわかる。「OFF」から「強め」までの各ステップでノイズの具合がずいぶん違う。では「強め」がいいのかというとそうともいえない。Photoshopでぼかしをかけたように像がゆるくなるのだ。「標準」ならISO 1600までが常用域だろう。さらにシャープな像が欲しいなら「弱め」でISO 800までにしておきたい。
ノイズ比較 | ||||
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高感度ノイズ低減 | ||||
しない | 弱め | 標準 | 強め | |
ISO 200 | ||||
ISO 400 | ||||
ISO 800 | ||||
ISO 1600 | ||||
ISO 3200 |