第1ラウンドは百度勝利、その後Google中国が反転攻勢

百度とGoogle中国の第1ラウンドの攻防は、百度がGoogleからの買収提案を拒否し、株式上場に成功、GoogleもまたGoogle中国を設立し、本格的な攻防の舞台が整えられたことでひとまず終わった。両社の関係はこの時点で、協力パートナー、あるいは潜在的な協力パートナーから、競合相手、ライバルへと明確に変わったのである。

Google中国の設立後、開復氏は検索エンジン市場の調査、チーム作り、新製品のリリースなどに追われ、攻撃性をあらわにしなかった。一方の彦宏氏は株式上場の成功に励まされ、自信を一段と深めたようにみえる。

百度の彦宏氏は李開復やGoogle中国のプレゼンスをさほど意識せず、サービスと業績の向上に専念してきた。だが、昨年後半になると、第1ラウンドで敗北を喫したGoogle中国が、新たな攻勢をかけてくるようになった。

東洋的な彦宏氏と西洋的な開復氏、世界舞台に競争

開復氏は、「Googleは最も正確な中国語サーチエンジン」「ランダムで抽出された10個の中国語単語で捜索し、その結果を百度と比較してほしい」などの宣伝文句を頻繁に用いることで、中国語による最強の検索エンジンを自負する彦宏氏と百度に挑戦状をたたきつけた。その後も開復氏は、大手総合ポータルサイトや大手通信会社の中国移動(チャイナモバイル)などを協力パートナーに取り込んだり、コミュニティサイトの天涯網に資本参加したりするなど、積極的に基盤を拡大してきている。

一方百度の彦宏氏だが、株式上場後から現在まで、海外市場開拓を強化し、利益率向上を目的とした経営を展開している。今年1月に日本への本格的な進出を果たした彦宏氏は、中国というホームグラウンドだけではなく、Googleに対し、世界市場でも戦いを挑もうとしているようにさえみえる。

2人の李氏の戦いは、開復氏が高度に西洋化され、オープンな性格の持ち主であるのに対し、彦宏氏がどちらかというと東洋的な、含蓄のある性格の持ち主で、時に神秘性さえ漂わせていることもあり、対照の妙がある。こうした性格の違いも、マスコミをはじめ、業界の注目を呼んでいるゆえんだ。

開復氏の攻勢に対し、彦宏氏がどのように応戦するか、今のところはまだ分らない。だが、"2人の李氏"の戦いの行方が、中国のみならず、世界の検索エンジンの将来に大きく影響することだけは間違いない。