シリコンバレーの裏も表も目の当たりに
百度の李彦宏氏は、1991年に北京大学で図書館情報学の学士号を取得してから米国へ留学。96年夏にニューヨーク州立大学(State University of New York)でコンピュータサイエンスの修士号を取得している。その後彦宏氏は、博士課程には進学せず、経済誌「Wall Street Journal」を発行するDow Jonesの関連企業に入った。彦宏氏がここで開発したリアルタイム金融情報システムは、今日も米ニューヨークのWall Streetにある、大手企業のホームページで使われているという。
1997年夏、彦宏氏はシリコンバレーにある検索エンジンポータルを運営するInfoseekに入社し、検索エンジンの研究開発を担当するようになる。Infoseekの自然言語認識技術を応用した全文検索型サーチエンジンは、当時世界で最も精度の高いものだった。彦宏氏は「企業内統合検索基盤(Enterprise Search Platform、ESP) 」技術の開発に成功、「Infoseek GO.com」に応用した。
Infoseekに勤めていた1年間、彦宏氏はシリコンバレーのさまざまな企業の繁栄と凋落を目の当たりにした。彦宏氏は1998年末、中国で「硅谷商戦(シリコンバレーのビジネス戦争)」と題した書籍を出版。同書は、シリコンバレーにあるIT企業の勃興からM&Aを巡る攻防などを忠実に描いたノンフィクション。李彦宏氏の経営理念の形成は、この本に登場した人物や事件から強く影響されたものと言われている。