プレイカードの仲介販売で成功

中国では数年前まで、オンラインゲームで遊ぶ際、プレーヤーがゲームサイトからプレイタイムをカウントする「プレイカード」を買わなければならなかった。だが、プレイカードの売買は主にゲームサイトで行われていたため、売り手と買い手とのコミュニケーションがスムーズにはいかず、情報も不十分だった。

金氏はゲームサイトからプレイカードを仕入れ、プレーヤーに対し販売を始めた。競争相手がなく、しかも需要が急増していたため、同氏が最初に投資した5,000元(約7万5,000円)はたった数カ月のうちに100万元(1,500万円)にもなった。

この成功で、金氏は家族や世間に自分の優れたビジネスセンスを示すことができ、大いに自信がついたという。2005年春、同氏は大学を休学し、傘下に浙江中国軽紡城集団(紡績)、長江農業装備(農器具)、浙江精工科技(産業機械)という3つの上場企業を持つ企業グループ、浙江精功集団の会長である父、金良順氏から1,680万元(2億5,200万円)の投資を受け、自分の好きなオンラインゲーム業界に参入、渡口網絡を設立した。

古代神話をモチーフにした「天機Online」を開発

金氏の名前の津は、古代中国語で渡口(渡し場)のこと。いわば、同氏は自分の名前にちなみながら、新しい出発点との意味合いも込めて社名をつけたのだ。

渡口網絡のコアビジネスは、オンラインゲーム開発と運営だ。同社は、金氏の父良順氏から資本金以外にも多くの資金援助を受けたので、「天機Online」と名づけた3D MMORGP(多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム)の開発、テスト、プロモーションなどに専念することができた。

天機Onlineは、中国古代の伝説である、炎帝と黄帝の戦い、黄帝と悪魔の龍との戦いという神話をモチーフに、豊富な歴史要素、文学的要素、美しいビジュアルを取り入れたゲームで、このゲームで遊べば、中国の古代神話の魅力を体験することができる。