最新のHDDカーナビは20万円台、最上位モデルは30万円もします。そんなに予算はないが、カーナビだけでも欲しいというユーザーは多いでしょう。そういった場合は、まずテレビを止めるか、後日に回すのが得策です。

できるだけ安くカーナビしたい!

カーナビに限らず、どんな電気製品も時間が経てば技術が進み、コストも下がります。実際のところ、ナビゲーション機能そのものはずいぶんこなれており、固定式であれば極端に性能の劣るものは見なくなっています。かといってメーカーは商品を安物にするわけにはいきませんから、新しい商品には新しい付加価値を付けて価格を維持しようとします。現在、カーナビで新しい付加価値に相当するのがテレビ機能なのです。

家庭用テレビと同じ地上波デジタル放送(地デジ)の受信できるカーナビは、実売平均で約22万円。これがケータイでおなじみのワンセグ対応では平均で約17万円と、5万円も安くなります。さらにワンセグも要らないとなれば、12万~13万円から販売されています。いずれもHDDカーナビの話です。

たとえばトップブランドであるパイオニアの地デジ対応モデル「サイバーナビ AVIC-HRZ009G」は実売で19万円程度ですが、操作やナビゲーション機能がまったく同じチューナーレスモデル「AVIC-HRZ009」は13万円台と、ずいぶん安くなります。クラリオンの「MAX570」はワンセグ対応モデルですが、実売平均が12万6000円と非常に安くなっています。これはドライブがDVDではなくCDになっているためのようです(本体はHDDカーナビ)。こういったモデルも狙い目です。

ちなみに同じテレビ対応でもアナログ放送のみ受信可能なカーナビもあります。しかし、クルマでアナログ放送はまともに見られないというのが定説ですので、過度な期待はもたないようにしましょう。価格を見ても、テレビ受信機能なしのものとアナログ受信可能なものは、ほとんど差がありません。

さらに安くしたいなら、DVDカーナビという手もあります。これなら10万円以下でも購入できます。HDDカーナビに比べてグラフィックなどのデータが少なくなるため、凝った表示は少なくなりますが、実用上困るようなことはありません。

また、忘れてはならないのが取り付け費です。配線などが多く、かなり大変な作業です。通常、カーナビを購入したショップやディーラーで作業してもらいますが、取り付け費として1万5,000円から3万円程度かかるようです。インターネット通販やオークションで本体を安く購入し、さらに自分で取り付ければ工賃もかかりませんが、覚悟はしておきましょう。

パイオニア AVIC-HRZ009。テレビ機能はないが、最新のパイオニア製品の中で、もっとも安く売られている

クラリオン MAX570。実売平均が13万円以下と、HDDカーナビとしては安く売られている

ケンウッド HDV-790。ワンセグ受信機能をもちながら平均実売15万円弱

数は少なくなったがDVDカーナビでも実用上困らない。パイオニア AVIC-DRV002は、10万円前後で買える

複数のクルマやバイクでも使いたい

安くあげるもうひとつの方法は、ポータブルタイプのカーナビを選ぶことです。ポータブルでもHDDを使うモデル(三洋電機の「HDDゴリラ」シリーズなど)はそれなりの値段がしますが、地図データの保存にメモリーやDVDを使うタイプはとても安く購入できます。たとえば、三洋電機のVICS対応モデル「NV-SD580DT」が実売8万3000円程度、ソニーのジャイロを搭載した「NV-U2」が5万6000円程度です。また、ポータブル型なら素人でも設置できるので、取り付け費を浮かすことができます。

ポータブル型のメリットを見てみましょう。なんといっても便利なのは、複雑な配線が不要なので、簡単に脱着できることです。複数台のクルマを使う場合でも、カーナビは1台で済みます。そのために、設置用キットのみ追加で購入できるものも多くあります。

また、ポータブル型カーナビはほとんどがバッテリーでも動作します。つまりカーナビをレストランや自宅に持ち込んで、ルートの検索も可能です。ワンセグなどの受信機能があれば、クルマから持ち出してテレビを見ることもできます。このあたりは固定式カーナビにはできない芸当です。また、メモリーを使うポータブル式はHDDやDVDカーナビに比べて可動部分が少ないため、消費電力が少なく、故障も少ないという特長があります。アウトドアではとても心強い製品です。

ポータブル型カーナビでもっとも有名なのは、なんといっても三洋電機の「ゴリラ」シリーズです。HDD+地デジの高機能モデルから、メモリー式のコンパクトなモデルまで種類も豊富です。特にメモリー式ながらVICSに対応している「NV-SD580DT」は便利。ワンセグも受信できます。ソニーの「NV-U2」も意欲的なモデルで、ポータブル型としては珍しく位置判断のためのジャイロや、加速度センサーや気圧センサーを内蔵し、電波の受信できない場所での測位も可能にしています。

もちろんポータブル型にも欠点はあります。それはクルマの車速情報が取れないため、測位をGPS衛星のみに頼らざるを得ず、現在位置の判断能力が低くなってしまうことがあることです。ジャイロを搭載しているモデルもごく一部です。そのため、GPS電波の受信しにくい市街地は苦手で、曲がるポイントをしくじることも少なくありません。それでも、郊外のドライブならあまり不便を感じることはないはずです。ポータブル型はポータブル型の特質を理解して使いこなしてください。

ポータブル型カーナビの雄、三洋電機のゴリラシリーズ。写真はNV-SD580DT

ジャイロを内蔵するソニーのナビU2(NV-U2)。実売が5万円台半ばという価格も魅力