さて、カーナビの選び方を考えてみましょう。まずは車内に設置し、簡単には動かせない固定型と、最近増えてきたポータブル型の違いです。

固定型とポータブル型

ナビゲーションの性能は固定型のほうが上です。これは衛星からの情報を受け取るGPS(Global Positioning System)だけでなく、ジャイロセンサーやクルマの車速など、多くの情報を元に現在位置を判断しているためです。トンネルの中でも簡単にルートを外すようなことはありません。サイズ的にも余裕があるため、大画面モニターはもちろん、機能も豊富にできます。

対してポータブル型は機動力の高さが魅力です。複数台のクルマを併用するような場合、ポータブル型なら簡単に取り外せ、どのクルマでもカーナビが使えます。またドライブ先でも、レストランにカーナビを持ち込んで、食事をしながらルートを研究するといった使い方も可能です。ナビゲーションそのものの性能は多少劣っても、固定型にはできない楽しみを提供してくれます。また、比較的値段が安いというのも見逃せないメリットです。

クルマが1台で、高性能なナビゲーションや付加機能が欲しいなら固定型、アクティブにカーナビを使いたいというならポータブル型ですが、この両タイプ、どちらがいいと簡単には判断できません。じっくり悩んでください。

固定式カーナビの例。オンダッシュタイプといっても、配線などがあり、簡単には外せない(写真:ケンウッド・HDM-555EXB)

ポータブル型カーナビ。これはアタッチメントでバイクに取り付けた例(写真:クラリオン・DrivTraxP5)

カーナビの大きさは「DIN」をチェック

固定型にする場合、合わせて最初に考えなくてはいけないのは設置スペースです。自分のクルマと照らし合わせ、どのタイプ(形状)が使えるのかをチェックします。カーナビやカーオーディオで必ず目にするのが「DIN」と呼ばれるものです。これはドイツの工業規格から来たもので、操作面のサイズが縦50mm、横178mmのボックス状の穴です。多くのクルマのダッシュボードには、この穴が1個から数個設けられています。固定型カーナビの多くは、このDINに合わせたサイズになっています。

最近は7インチ(型)程度の大きなモニターが主流ですが、2DIN(DINを縦に2つ並べたサイズ)ならば前面にそのままモニターが配置できますし、常にモニターが見えているので操作もラクです。最新のカーナビは、この2DINタイプが主流です。最近は最初からカーナビの搭載を考えて、ダッシュパネルの上部に2DINのスペースを用意しているクルマが増えています。

2DINがなく、1DINしか空いていない場合は1DIN対応のカーナビを選びます。もちろん1DINの前面にモニターを貼り付けたのでは小さくなってしまいますから、モニターがせり出してくるフロントローディングタイプか、モニター別体(1DIN+オンダッシュ)のものになります。ただし、フロントローディングタイプは上部にエアコンの吹き出し口などがあると塞いでしまう可能性があります。逆に、別体型ならそういった心配はありませんが、配線が見えてしまったり、ダッシュボードにモニターを固定する器具が必要になります。そのほかに、1DIN(本体)+1DIN(モニター)というタイプもあります。

DINがまったく空いていない場合は、「オンダッシュ」や一体型と呼ばれるタイプを選択します。オンダッシュはダッシュボードの上にモニターを置き、本体はシート下など、離れたところに置くタイプです。一体型はポータブルナビのように本体とモニターが一体になったもので、設置方法そのものはオンダッシュと同じです。ちなみに2DINや1DINなど、ダッシュパネルに収まるタイプを「インダッシュ」とも呼びます。1DINのモニター別体も含め、オンダッシュや一体型は、モニターサイズがDINサイズに縛られないため、8インチなどのより大きなサイズにできるのがメリットです。しかし前方視界を遮るような設置は危険なので避けてください。

縦につながったDINを2個分使うのが「2DIN」、ひとつだけでOKなら「1DIN」となる。1DIN+1DINというタイプもある

カーナビの背面には、オーディオ類や車速用、GPS用など、多くのコネクターがある(写真:ケンウッド・HDV-990)

クルマとセットで買うか、あとから買うか

これから新車を買うなら、カーナビもクルマと一緒に購入するか(純正オプション)、後づけのサードパーティ品にするかという選択肢があります。サードパーティ品といってもクルマ用品店はもちろん、最近は自動車ディーラーで取り付けてくれますので、自分で作業する必要はありません(手数料が必要な場合もある)。

純正品のメリットは、デザインなどをクルマに合わせてあり、収まりもいいことです。違和感なく室内に収まります。対してサードパーティ品は、全体に機能が豊富です。ポータブルオーディオプレーヤー接続などの最新機能も、多くはサードパーティ品から始まりました。また、純正品は新車購入時にしか取り付けられないものが多く、あとからは装着できない場合が多いようです。

あまりこだわらず、とりあえずカーナビが使いたいというなら純正品、特定の機能が欲しい、多機能・高性能がいいというならサードパーティ品というところでしょうか。

カーメーカー純正とサードパーティの比較。この表に当てはまらない場合もあるので、あくまで目安として見てほしい

カーナビのメディアと地図のアップデート

CDからDVDへ、DVDからHDDへと、カーナビのメディアはどんどん大容量化しています。先に述べた詳細な地図情報だけでなく、音楽データを溜めておくといった使い方もHDDならではの機能です。そういったわけで、現在は上位モデルはHDDナビ、リーズナブルなモデルがDVDナビという棲み分けができています。HDDは容量に加え、高速なアクセスが特徴なのでルート検索が高速に行なわれるというメリットもあります。

クルマのなかでHDDと聞くと、振動ですぐ壊れてしまいそうな気もしますが、さすがにそれはメーカーもわかっていて、振動に強いHDDや強固なパッケージを使っているようです。今のところ、HDDだからすぐ壊れるという話はあまり耳にしません。

注意したいのは地図のアップデートです。新しい道が日々建設されていますから、地図は定期的に最新版に置き換える必要があります。DVDならディスクを新しいものに交換すればOKですが、HDDではデータを書き換えなければなりません。DVDを差し込んでインストールできればいいのですが、中にはメーカーにHDDを送って作業してもらうようなモデルもあるようで、これはちょっと面倒です。費用はいずれも18,000円から20,000円程度かかります。

次ページからは、具体的な機種選びを考えてみましょう。

地図アップデートの方法。1回はアップデート無料といったサービスを行なっているメーカーもある