――よほど大切なコレクションだったんですね(笑)。

「なんとなく集めてたわけじゃないんですよ。ウルトラマンの新しい技がこうであるとか、そういうのがチラとでも載ってたら、それをいつまでもいつまでも見てたわけですよ。ウルトラマンの骨はこうなってて、ここにこういうものが流れてるとかいうのがあったら、それ完璧に記憶するわけですよ。完璧に記憶してるのに、何回も何回も見るわけですね(笑)。今度こういう怪獣が出てくるっていうのも、ぬいぐるみ(着ぐるみ)のここらへんがちょっとほつれてるとか、そこらへんまで。でも、それがいとおしい(笑)。子どもながらにね、ホントもう、何から何までいとおしかったわけですね(笑)」

――それなのに……(笑)。

「親の服の端を掴んで、『あれはどうしたんだよお』『うるさいねー』(笑)。未だに信じられない。悪夢を見ているような(笑)」

――ひょっとして、それを埋めようとして、今の行動に反映している部分が……。

「ああ、絶対そうですね。古書店に行ったりして、当時の『少年マガジン』のバックナンバーとか買い込むわけですよ。昔の怪獣図鑑はもちろんのこと、何をおいてもそれ買っちゃいますから。今後の人生にどう役に立つわけでもないのに高い金出して買うのもどうかと思うんですけど。でも、止められないです(笑)。あの時の欠落を埋めないと、とても生きていけないみたいな。オタクってそういうところがあるんじゃないかなあ」

――ありますあります。

「友だちに聞いても、怪獣のソフビ人形を親に捨てられたとか、仮面ライダーのカードを親に捨てられたとか、いくらでも聞きますね(笑)。そういう人たちが今コレクターになっているのは、その時の傷を癒そうとしているんだと思いますよ(笑)」

――40年経っても、トラウマが埋まらない……。

「今、『ウルトラQ』や『ウルトラマン』研究をなさってらっしゃる方もいっぱいいらっしゃいますし、いろいろ復刻されてますから、その傷はもう埋められたんじゃないかと思ったこともあるんですけど、でもダメなんですよ全然(笑)。『いやいや、オレが見てたのは、こんなもんじゃなかったハズだ』。集めても集めても、なにかこう止まらないですね、これは(笑)」

――親御さんは、えらいことなさいましたね(笑)。

「捨てられた量というのが、また半端じゃなかった。本棚2つ3つ分。親の本をどかして(笑)、『少年マガジン』とか並べてましたから(笑)」

――もう、いかに深い傷だったかという……。

「この記事を読んでらっしゃる親御さんは、子どもの物を絶対捨てないように!(笑)。子どもの人生狂わせますよ、これは(笑)」