――で、その『ウルトラQ』が終了して、間に1週『ウルトラマン前夜祭』をはさみ、今度は『ウルトラマン』が始まるわけですね。

「その『ウルトラマン』の前にですね、また雑誌なんですけれども(と言って取り出し)、『少年マガジン』のこの号、親が買ってきてくれたんだと思うんですけど、目が覚めたら、ふとんの脇にあったんですよ」

――いい表紙ですね。

「これこそ、『なにが始まるんだ!』と(笑)。あの、今でこそ、このウルトラマンていうキャラクターは、日本人では知らない人がいないくらいの記号になっていますけれども、この時はなんだかよくわからない。人間の顔してないじゃないですか、この人。鼻も省略されてるし、黒目もないし、一種異様な、初めて見る生き物ですよね。こういう異形のヒーローってのは生まれて初めて目にしたわけで……もう、言葉が見つかりませんでしたね。血が煮えたぎるというか(笑)」

――表紙に載っているのは、ウルトラマンとバルタン星人とネロンガですね。

「その後何十年も歴史に残るようなキャラクターが、ここに一同に会しているわけですよ。この本は最近あらためて古書店で買ってきたものなんですけど、怪獣の記事はたいしてページ数は多くないんですよ。でも、ほかの記事は一切記憶になくて(笑)、巻頭のグラビア見開き2ページだけで、なんだか人生変わっちゃったみたいな。堪らんかったですね、これは」

――しかも、これが、テレビを通して毎週お茶の間に来るんですよね。

「今日はベムラー、次はバルタン、さらにネロンガだよ(笑)。ちょっと想像してよ、このインパクトの大きさを(笑)」

――すごい時代でしたよね。

「もう、唐沢少年の血は、ぐつぐつぐつぐつ煮えたぎってしまったわけですね」

――わたしたち40代半ばですけど、その人生のほとんどは、これにもっていかれてしまったわけですね。

「そーなんですよ。因果なことでございますね」

――その40年前の話をわたしたちは、今わざわざしてるんですもんね。

「この歳になって(笑)」