般若心経を写し終えると、自分の願いごとを書く欄がある。はじめは、「著書のミリオンセラー祈願」と書こうかと思ったが、よくよく考えてみたらここは病気を治してくれるお薬師さまがご本尊だということだったので、「家族の身体健全」をお願いした。最後に日付と名前と住所も書いて終り。お写経した紙は、前に置いて有るお盆に提出する。こちらでお写経されたものは、月に2回、奈良の薬師寺に運ばれてお堂に日付ごとに納められる。自分が死んでも薬師寺のお堂が燃えない限り永遠に私が書いたお写経が残るということを想像すると、何だかすごいことをしたように思えてきた。

最後に願い事を記入。願い事は写経をした日によって違っていてもよいとのこと

完成したお写経。達成感がじわり

お盆にお写経を納める

薬師寺東京別院でのお写経は毎日受け付けていて、毎月1,000人以上もの人がお写経に訪れるそうだ。最近は若い女性で体験する方も増えてきているという。「お写経をする人の中には、『何かを決断しないといけない時にお写経はぴったり。気持ちを"空"にできて、まるで心の洗濯機のようです』とおっしゃっていました」(職員の方)。老若男女問わず、色んな思いでお写経に来てしているようだ。私も初めてだったが、1時間ちょっとで写し終えることができ、気持ちもリフレッシュできた。

なお、ご納経料は般若心経1巻が2,000円、薬師経1巻(健康祈願・病気平癒など。お写経には薬師如来御尊像の写仏がつく/約800文字)が4,000円、唯識三十頌1巻(一願成就などのご祈願に玄奘三蔵が唯識の教えを求めに西域へ行った仏教哲学の教え/約600文字)が5,000円としている。筆など必要なものは貸していただけるので、気軽にできるお写経を読者の方にもぜひ体験してもらいたい。

お写経の部屋はとても静か。ここで法話なども定期的に開かれるそうだ