はじめに

12月3日(米国時間)、オープンソースのJava統合開発環境NetBeans 6.0が正式にリリースされた。

今回のリリースはJava EE 5への対応、Javaエディタの強化、Ruby/Ruby on Railsのサポート、JSF開発機能やUMLモデリング機能などこれまで拡張パックと呼ばれていた機能を標準で搭載するなど、実に見所が多い。これまでJava統合開発環境としては同じくオープンソースで開発されているEclipseがデファクトスタンダードの地位を確立しているが、NetBeans 6.0の登場によってNetBeansの巻き返しも考えられる。

本稿では新機能中心にNetBeans 6.0の主なを機能をレビューする。

NetBeans 6.0のリリースパッケージ

NetBeans 6.0はJava開発用、Web開発用、Ruby開発用など、目的に応じて6種類のパッケージが用意されている。基本部分は同一だが、利用できる機能は大きく異なる。用意されているパッケージと各パッケージに含まれる機能は表1の通りだ。

表1 NetBeans 6.0のパッケージ

  Web & Java EE Mobility Java SE Ruby C/C++ All
ベースIDE
Java SE
Web & Java EE
Mobility
UML
SOA
Ruby
C/C++
GlassFish V2
Apache Tomcat 6.0.14
サイズ 96M 58M 21M 19M 11M 169M

「とりあえずNetBeans 6.0の機能を試してみたい」という場合には全部入りのAllを、目的がはっきりしていてダウンロードサイズを抑えたいという場合にはそれ以外のパッケージをダウンロードするといいだろう。

Eclipseと比較した場合のメリット

前述の通り、現在はJava統合開発環境としてEclipseが多くのJava開発者に利用されている。EclipseとNetBeansを比較した場合、両者にはどのような違いがあるのだろうか。

まず、NetBeansのメリットとして、基本的なJava開発支援機能以外にもさまざまな機能が標準で搭載されているという点があげられる。Eclipseでは多くのプラグインをインストールして機能を追加する必要があるが、NetBeansであればインストールすれば開発に必要な機能がひと通り揃う。最近ではEclipseの場合でもWTPなどのプラグインを同梱したパッケージが用意されているため、以前ほど両者の差を感じることはなくなったが、NetBeansはIDEだけでなくアプリケーションサーバまで同梱されているのはやはり便利だ。

また、NetBeansはJava標準仕様がいち早くサポートされることでも有名だ。たとえばJavaEE 5に含まれるJSFやJPAなどについては1つ前のバージョンである5.5ですでにサポートされていたし、6.0では新たにJSR-296 Swing Application FrameworkやJSR-295 Beans BindingといったJavaSE 7で搭載される予定の仕様をサポートしている。最新技術をいち早く試してみたいという方にはNetBeansがおすすめだ。