Reclusaのメインキーは、平凡な109キー配置だ。Microsoftはキートップのデザインに柔軟で、例えばエルゴノミクスデザインのキーボードを製品化している。しかしReclusaはゲーム用だからといって特異な配置になっていない。
これには理由がある。まず、FPSと呼ばれる1人称視点の射撃ゲームでは、キャラクターの移動キーに[W]キー、[A]キー、[S]キー、[D]キーが使われる。中指を[W]と[S]キーに置いて前後移動、薬指を[A]キー、人さし指を[D]キーに置いて左右移動。[E]キーはアクション、[R]キーで弾薬のリロード、小指は左側の[Shift]と[Ctrl]キーで駆け足やしゃがみに割り当てられる。
この操作方法が全世界的にスタンダードとなっているため、ゲーマーは極端に特殊な配置を受け付けない。ロールプレイングやシミュレーションなど他の分野では主にマウスを使うので、キーボードは主にゲーム中のチャットなど文字の入力に使われる。つまり、ゲーム用といえども、キーボードはキーボード本来の使われ方になる。だからキートップは保守的なデザインに落ち着くのだ。
しかし、このキーボードには見えない工夫がある。それはキー入力のレスポンスだ。「Razer HYPERESPONSE」と名付けられた機構を採用し、キー反応速度を向上しているという。もっとも、実際に操作してみた感じでは違いが分からなかった。反応速度、キー入力の遅延は射撃ゲームや"音ゲー"と呼ばれるゲームなどで顕著に表れるというけれど、その違いが認識できるゲーマーは相当な腕の持ち主だ。対戦ゲームで自分のキャラクターの動作がもたつくと明確に感じる人は試す価値があるだろう。
ゲーマーにうれしい便利なボタン - 「バンパーキー」
すべてのゲーマーにとってありがたみがある部分は特殊ボタンの追加だ。キーボード左右の端にそれぞれ3つのキー、1つのダイヤル、そして「バンパーキー」と呼ばれる2つのボタンが配置されている。追加キーの数としては控えめだが、実はこれがとても重宝した。
バンパーキーはマウスを握った手をぶつけるようにして使う。だから上方向だけではなく、横方向から押しても動作する。ここに弾薬の装填や動作キーを割り当てると、アクションシューティングゲームで弾薬をリロードしたり、ドアを開閉したりする操作がマウスを持った手で素早く実行できる。これらの操作はたいてい左手で行うのだが、移動の激しいゲームでは[W]、[A]、[S]、[D]のキーから指を離したくない。
そこでバンパーキーを使えば、移動しながら弾薬装填などの動作が同時に行える。ライバルに勝つためには必要な機能だといえるだろう。左右に配置されている理由は、マウスを持つ手が左右どちらでも対応できるための仕様だと思われる。
片側にある3つのホットキーは、ゲームを幅広く楽しむ人にありがたいはずだ。筆者の場合、ゲームソフトのレビューをする時にスクリーンショットを撮影する。スクリーンショットはたいてい[PrintScreen]キーが割り当てられている。しかし、このキーはゲーム中の両手から遠いため、激しい戦闘の様子を撮影するには難しい。そこで筆者は左側のホットキー[L3]にスクリーンショット機能を割り当てた。これなら移動操作の手を離さずに小指でスクリーンショットの操作が行える。
自分のプレイスタイルを自慢するために、ゲームプレイを動画キャプチャーソフトで記録して、動画共有サイトで公開する。そんな人も、このキーボードを使えばキャプチャーソフトを簡単に起動できるだろう。ボイスチャットツールで会話しながら連係プレイをするにも便利。ゲームをプレイするだけではなく、コミュニティで情報交換するような人には重宝するはずだ。
左右のホットキーは、出荷時にはホームページを呼び出したり、メールクライアントを起動したりするほか、音楽を聴くための機能に割り当てられている。しかしゲーマーにとってそんな機能はどうでもよくて(笑)、ここにはゲーマー自身が勝つための機能を割り当てることになるはずだ。
メディアプレーヤーの起動にはWindows Media Playerのほか、iTunes、RealPlayer、WinAmpも対応する |
さらに、付属ユーティリティーにはキーマクロを編集する機能がある。これを使うと一連の操作をボタン1発で起動できる。たとえば射撃ゲームで武装を選択する場合、武器庫でライフジャケット、ヘルメット、ショットガン、手榴弾などを装備する動作を1つのキーで指令できる。すばやく戦場に参加できるというわけだ。
キーボードマクロの登録画面。繰り返しの単純操作を登録しておくと便利だ |
ロールプレイングゲームでは頻繁に開くサブウインドウをいくつか組み合わせて登録するという使い方も便利だ。アイテムの交換や売買など、ホットキーが活躍する機会はいくらでも見つかる。そして、これらの設定は5セットのプロファイルに登録し、切り替えて使用できる(プロファイルの切り替えがキーボード上で行えれば、なお良かったが……)。
ダイヤルについては効果的な使い方が見つけられなかった。しかし、ここにカーソルキーを割り当てれば活用範囲は多い。例えばブロック崩しのパッド操作、カーレースゲームのハンドルとアクセルに割り当てれば楽しくプレイできる。出荷時は、音声ボリュームとして[+]キー、[-]キーに割り当てられており、ゲーム中の音量調整など補助的な用途にも使えそうである。