大ヒットした青春映画『パッチギ!』。その続編である『パッチギ! LOVE&PEACE』は主要キャストも一新し、物語の舞台も1968年の京都から、1974年の東京へと変わっている。この時代状況の変化の中で、在日韓国人である主人公一家の過酷な日々と、その父親の戦争体験が衝撃的な映像を用いて描かれ、単なる青春映画ではない重厚な作品になっている。 DVD発売を10月26日に控え、現在韓国でも公開されているこの作品について、井筒監督はどんな想いを持っているのだろうか。

韓国メディアの反応

「在日を描いた日本映画」ということで、現地でも話題作として迎えられた本作。その反響を井筒監督はこう語る。

井筒和幸監督

「大盛況もいいところで、ビックリでしたよ。前作の時より、さらに反応が良い。連日取材で20本ぐらいインタビュー取材を受けました。マスコミの反応もすこぶる良かったです。とにかく日本の観客やマスコミ以上に、真剣に喰いついて観てくれてますしたね。細かいギャグもよく笑ってくれるし。普通、他の国の作品であそこまでウケないですよ」

作品の内容やテーマに対して、日本国内のような批判はなかったのだろうか。

「なかったですね。"必死に生き抜く"という本作のテーマはもちろん、前作から変わらない韓国・北朝鮮と日本が理解し合い共生しようとする事の大切さも理解してくれてましたね。また、日本で様々な問題に直面している在日の過酷な現状に対して、『この映画のおかげで在日の事が良く理解できた』という意見も多かったですね。勿論、日本でも素直にわかってくれたお客さんもが沢山いますよ」

今作は人体損壊を伴う激しい戦争描写などもあり、前作のような「笑って泣ける青春映画」というだけの作品ではない。この変遷にはどのような思いがあるのだろうか。

「在日1世の戦争逃亡体験みたいなものが、1作目では完全に欠落していて、在日1世が経験した戦争体験までは描ききれなかった。だから今作では是非、そこをしっかりと描きたかった。在日といわれる人々が、どうして差別を受けながら日本で暮らすことになったのかを、しっかりと描写したかった。やはり韓国ではその部分も評価してもらえたね。日本人は在日の人々が潜り抜けてきた壮絶な事情を、誰も知らないから」