--現在、首都圏の鉄道などでエクストリームコンディション下での使用に耐えうるPCを開発したいという「最高のPC」広告キャンペーンを行っていますが、これはどのようなユーザーの意識の変化を狙ったものですか? また、ユーザーからはどのようなフィードバックがあがっていますか?

"技術"のレノボをアピール

「最高のPC」はワールドワイドで展開している「Lenovoブランド」のイメージ向上キャンペーンで、当社がユーザーに提供できる価値として第一に技術力を重視している点を伝えることを目的としています。すでにThinkPadの開発拠点として大和研究所の技術力は広く知られるところですが、当社の優れた技術者は「ThinkPadの大和」だけでなく、中国やアメリカといった世界中でLenovoブランドの製品作りを支えています。

特に品質に対して敏感な日本市場においては、中国製製品にありがちな「安かろう、悪かろう」というイメージを払拭し、Lenovoブランドのブランドイメージをいちから作り上げていかなければなりません。IBM時代と変わらないサポート体制と品質をもって製品でその姿勢を示すことはできますが、それと同時にマーケティングの一環として当社の高い技術力をアピールしたいと考えています。

ちなみに、広告の中で動作中のノートPCが高速で壁にたたきつけられてゴム板のようにぐにゃりとたわみ、その後床に落下するというシーンがあるのですが、実はその実験の直後でもあのノートPCは正常に動作していたのですよ(動画はこちら)。

--それはすごい。あれはてっきり広告用だと思っていたのですが、実際に実験されていたのですね。

「最高のPC」キャンペーンのフィードバックとしては、首都圏を中心にアンケートをとったところ、Lenovoブランドの認知度が大きく向上していました。いまだに製品につけられているのはIBMロゴなので以前はLenovoのロゴすら見たことがないという人も多かったのですが、キャンペーン展開後はPCを使う人、使わない人のいずれでもレノボという会社の存在を広く知ってもらえました。

また、当初「安かろう、悪かろう」というイメージをユーザーに持たれているのではないかと危惧していたのですが、アンケート内でレノボの企業イメージを尋ねてみたところ、「エンジニアリングの会社」という好意的な回答が多く寄せられています。

--その他のマーケティング活動として、野球チーム・東京ヤクルトスワローズやF1チーム・AT&Tウィリアムズ、NBAの公式スポンサーを務めるなどスポーツへの貢献が多く見られますが、これはどのような意図なのですか。

認知度の向上も狙いのひとつとしてありますが、なによりも社会貢献の一環です。海外で行っているF1やNBAのスポンサーシップは「最高のPC」キャンペーンと同様に技術力のアピールを主な目的としたもので、ヨーロッパではF1、アメリカではNBAが認知度の向上に大きな効果をあげています。

一方、日本で展開している東京ヤクルトスワローズの公式スポンサーについてですが、第一に古田元監督の「スポーツやITを通じてこれからの人材を育成したい」という姿勢と当社の方向性が合致したのが大きな理由です。また、古田元監督が実践する「IT野球」や東京ヤクルトスワローズの親会社となるヤクルトの健康的なイメージも公式スポンサーを引き受けたいと思わせる動機のひとつでした。

その他の人材育成スポンサーシップとしては、タブレットPCを用いた双方向討議を推進する東京大学の「TREE/MEETプロジェクト」への支援や1年間にわたって学生自身が資金調達・開発・設計・製造・マーケティング・コスト削減などに取り組みながらフォーミュラーカーを制作する自動車技術界主催の「全日本学生フォーミュラ大会」への協賛、東京ヤクルトスワローズの本拠地となる神宮球場でPC教室や神宮球場でのテント設営、バーベキュー、元東京ヤクルトスワローズの選手による野球教室を行い、子どもたちに集団でのコミュニケーションや競争を体験する機会を与える「神宮キッズ・キャンプ」などがあります。これらの活動は、これからのより一層グローバル化が進む社会で自分の意見を持って活躍できる人材を育成するには、技術としてのITを推し進めるだけでなく、ITを使う人の心と体を育てる必要があるという理念に基づいて行われています。これらの活動を通じて、教育の変革に貢献したいと考えています。

また、9月11日にはインテルと共同で「インテル・レノボDay」という環境問題に関するキャンペーンも行いました。インテル・レノボDayでは、5,000kWh分のグリーン電力証明書を購入し、照明などの電力をすべて自然エネルギー発電による電力でまかなった、東京ヤクルトスワローズと読売ジャイアンツとのナイトゲーム「エコナイター」を実施しました。また、当日は先着3,000名にエコバッグの配布も行いました。

--2006年トリノオリンピックからオリンピックのワールドワイドスポンサーを務めていますが、2008年に開催される北京オリンピックに関してはどのようなキャンペーンを展開されていますか? またオリンピック特別モデルのリリースなどは予定されていますか?

北京オリンピックでは、オリンピックそのもののスポンサーのほか、オリンピック聖火リレーのスポンサーも行っています。そして、聖火ランナーを一般投票で選出するワールドワイドイベントが現在進行中です。具体的には、選ばれた日本からの2名を含む聖火ランナー候補者18名が、当社の思想を反映した"New Thinker-新しい発想で行動する人"として聖火リレーへの参加にいかに意欲があるかをアピールする30秒間のデモンストレーションビデオをYouTubeに掲載し、一般投票を行うというものです。

また、オリンピックを目指すスポーツ選手を応援するワールドワイドキャンペーン「レノボ・チャンピオン」も展開しています。来年2月からレノボ・チャンピオンに選ばれたスポーツ選手のサイン入りPCを毎週1台ずつ放出するチャリティオークションが開催予定です。

オリンピック特別モデルについては、当社がデザインを担当した聖火トーチのデザインを取り入れたものを台数限定でリリースするかを現在検討中です。