米国時間の8月29日、米MicrosoftのWindows VistaチームがWindows Vista Service Pack (SP) 1のベータ開発を発表すると共にVista SP1に関する情報を公開した。数週間中に小グループのテスターを対象としたクローズドベータを開始する予定で、Vista SP1のRTM (Release To Manufacturing: 製造工程向けリリース)の目標を2008年第1四半期としている。
Windows VistaのSP1に関しては、8月に入ってからネット上にVista SP1のベータ版を名乗るファイルが登場しており、その開発が噂になっていた。Microsoftは、これまでVista SP1提供について一切否定していたが、噂や憶測が過度の期待につながるとWindows Vistaの導入を控えるWindowsユーザーが現れる可能性もある。そこでMicrosoftはVista SP1の開発を認め、Vistaの長期的なアップデートスケジュールの公式情報の提供に転じた模様だ。
多くのWindowsユーザーには、2004年夏にリリースされたWindows XP SP2の大幅な機能強化が記憶に残っている。そのためWindows Vista SP1でも、XP SP2同様の劇的な変化を期待するユーザーの声があるようだ。だが、Windows VistaチームはVista SP1のホワイトペーパーの中で「Windows XP SP2は特別なアップデートだった」と強調している。XP SP2リリースに至るまでのMicrosoftは、Windows Vistaをリリースする前にセキュリティ上の脅威に対応する必要性に迫られていた。そこでService Packを利用したのだ。Trustworthy Computingに基づいて設計されたVistaでは、XPに比べてセキュリティ上の問題が格段に減少している。「Windows Vista 6-Month Vulnerability Report 」によると、リリースから6カ月間のセキュリティ問題は、Windows XPが36件だったのに対してWindows Vistaは12件となっている。そのため「Windows Vista SP1とWindows XP SP2では提供の目的が異なる」(Windows Vistaチーム)としている。
Vista SP1提供の狙いは「品質向上」「管理性の向上」「新たなハードウエアおよび標準のサポート」の3点。デスクトップ・シェルのパフォーマンス向上やセキュリティ問題の解決など既存機能の改善や強化が行われるが、Vistaの利用を様変わりさせるような大きな機能の追加は行われない。機能的には、Windows XP SP1やWindows 2000 SP4のような小さな変更にとどまるという。
またWindows VistaチームのNick White氏は「システム修正や改善を提供する方法として、従来のようにService Packのみに頼らなくなっている」と述べる。例えばオンラインサービスのWindows UpdateやWindows Server Update Servicesを通じて修正・改善が継続的に提供されており、「Service Packでまとめて修正が提供されるのをユーザーが待つ必要はない」としている。Windows Core Operating System担当のシニアバイスプレジデントであるJon DeVaan氏も「Windowsの利用体験は継続的に向上しており、それを受け取る方法をカスタマーが選択できるということだ」と指摘する。