RubyCocoa 1.0では、これまでに挙げたものを含めて、以下のような機能が新たに加わります。

  • BridgeSupport対応による多くのフレームワークのサポート
  • ブリッジを通るオブジェクトをキャッシュすることによる高速化
  • C言語のポインタ・関数ポインタ・構造体への対応
  • バンドル・プラグイン開発への対応
  • コントローラクラスとGUI定義ファイルの自動生成・更新のサポート
  • ActiveRecordに対応したテーブル表示ビュー

その他にも、Rubyの持ち味を活かすメソッド・疑似構文(DSL)(*5)の追加など細かい改良が続けられています。

サポートするMac OS Xのバージョン

RubyCocoa 1.0では、Tiger(10.4)以降のMac OS Xをサポートします。Panther(10.3)については、Ruby 1.8.6やlibxml2などを別途インストールした上で、ソースからビルドして使うことは可能と思われますが、プロジェクトでは動作確認していません。

最後に

筆者は、さきごろ日本Ruby会議 2007WWDC2007に相次いで参加しました。そこでは、IC設計用アプリケーション開発のプロトタイピング、QuickTimeを使った教育用アプリケーションの開発、Windows版IRCクライアントの移植など、さまざまな用途ですでにRubyCocoaを活用されている方々とお話しする機会がありました。筆者自身も、Rubyの良さを活かしたかっこいいMac OS Xアプリケーションを開発したいとひそかに考えています。Appleによるサポートを得たRubyCocoaが、今後より多くの方面で有効活用されるようになれば、原作者として喜ばしい限りです。

*5 疑似構文(DSL)
Rubyプログラミングでは、引数リストの括弧の省略・Symbolリテラル・Hashリテラル・ブロック構文などのRuby言語の特徴を活かして、一見すると専用の構文であるかのように記述できるメソッドを定義し、プログラムの可読性を高めるということがよく行なわれる。実はメソッド呼出しだけど構文のように見える、という意味で、本稿ではそれを疑似構文と呼んでいる。