Mail機能を使うと、AppleがiPhoneでどのようなユーザー層を想定しているかが分かる。設定は簡単だ。MacのMailを利用していれば、同期の際にその設定をiPhoneに移すだけだ。iPhone本体でメール・アカウントを設定する場合でも、.Mac、Gmail、AOL、Yahoo! Mailなどはユーザーの名前とユーザーID / パスワードを入力するだけで完了するようになっている。メールの機能はシンプルだ。受信したメールがInboxの中にずらりと並ぶ。大量のメールを受け取る場合、自動的にフォルダー分けしたいところだが、振り分け機能はついていない。そのためシンプルすぎるという批判をよく耳にするが、逆に考えると1つのInboxのおかげで届いたメッセージを見落とすことはない。メールの削除は面倒だ。メッセージのリストで、件名を指で左から右になぞると[Delete]ボタンが出てくるので、それをタップするとゴミ箱に送られる。もしくは各メッセージを開いてゴミ箱のアイコンをアップする。誤って消してしまうことはないが、削除するのにふた手間が必要。また複数のメッセージをまとめて削除する機能を備えていない。設定で、1日 / 1週間 / 1カ月後に自動的にメッセージを削除するように指定できるのみだ。

メールアカウントの設定画面。Yahoo! Mail、Gmail、.Mac、AOLなどはユーザーの名前とユーザーID/ パスワードを入力するだけで完了する

このようにMailは、とことん簡単でシンプル。送られてきたメールに確実に目を通し、受信したメールを失くしてしまわないように設計されている。ここから想像されるiPhoneユーザーは、ごく一般的な携帯電話 / パソコンユーザーである。

ExchangeサーバのサポートはIMAPプロトコルを通してのみ。メールに添付されたWord、Excelファイルは表示できても変更はできない。企業ユーザーに対するサポート不足の指摘をよく目にするが、現バージョンでは企業での利用をまったく想定していないという印象を受ける。例えれば、キャンプ場やスキー場程度なら行けるファミリーカーという感じ。足回りがしっかりしているので多少は山道も走れるが、快適ではない。オフロードは無理。企業ユーザーを見据えたBlackberryとは装備が異なる。

ExchangeサーバをサポートするがIMAPプロトコルを通じてのみ

ちなみにMailはスパム対策機能も備えていない。スパムも受信するとInboxがごちゃごちゃになってしまうので、Gmailを間に入れてスパムフィルターとして使っている。