J-SOXが求める財務報告の信頼性に係る内部統制は新しいことではなく、ほとんどの企業ではすでに内部統制システム自体は整備されています。したがって一から構築する必要はありません。ただ、内部統制の整備状況と運用状況を文書にし、記録しておくという作業は、これまで十分に行われてきませんでしたので、新しい対応が必要になります。
これを単にコスト増と考えるよりも、これを機会に業務の不備を発見し、従業員による不正を防止し、業務のムダをなくしていくという積極的な"攻め"を目指すべきでしょう。
上に挙げたFinancial Executives Internationalの調査では60%の企業がSOX法対応により財務報告に対する投資家の信頼が増したと回答し、34%が不正を防止又は発見するのに役立ったと回答しています。
日本版SOX法は平成20年4月から本番年度を迎えます。今年度19年を準備期間と考えると、それほど時間があるとも思えません。
冒頭のラウンドテーブルで、Accentureのコンサルタントから「米国でSOX法の初年度でギリギリまで待って書類を出した会社の8%が実はフェイル(失敗)した。失敗の原因は、横にらみで他社の動向を伺っていて、最後の最後までアクションを起こさなかったためである」というコメントがあったのを思い出します。
日本画像情報マネジメント協会が平成19年2 - 3月に行った調査によると、日本版SOX法への対応において、約半数の企業はプロジェクト立ち上げ段階であり、具体的な作業には入っていません。このように現在横にらみをしている日本企業は多いと思いますが、にらみすぎていて手遅れにならないように注意が必要です。
なお、7月25 - 26日に東京国際フォーラムで「日立uValueコンベンション2007」が開催されます。内部統制関連のセミナーや展示もありますので、ご興味のある方はぜひお出かけください。
参考文献
- 『内部統制の統合的枠組み 理論編』 鳥羽至英、八田進二、高田敏文(共訳)
- 『現代の実践的内部監査』 川村眞一(著)、日本内部監査協会(編集)
- 『日本版SOX法実施基準対応 内部統制実践ガイド』 久保惠一(著)
提供:オービックビジネスコンサルタント
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