マクロ撮影は、小さな被写体を画面いっぱいに大きく撮影できるのが魅力。特に自然写真のカテゴリーとして確立している花や昆虫のマクロ写真は、普段は見られない細部の美しさや、鮮やかな色が魅力だ。

このマクロ撮影、標準レンズでもまったく撮影できないわけではない。標準レンズを含む多くのズームレンズはマクロ撮影機能も持つものが多く、ある程度まで被写体に近寄ることができる。しかしその場合でも、一般的にズームレンズは最大撮影倍率が0.2~0.3倍程度のものが多く、被写体をそれほど大きくは写せない。そこでマクロレンズの出番となる。

モノを大きく写すには、レンズで拡大する(焦点距離を長くする)か、近寄って写すというふたつの方法しかない。しかし一般的な望遠レンズは最短撮影距離が長く、小さなモノを大きく写すのには向かない。これを近寄れるように設計したのがマクロレンズである。ほとんどのマクロレンズは、最大撮影倍率が「等倍」(1倍)となっている。つまり"撮像面での大きさが実物と同じ大きさ"ということ。使ってみるとわかるが、これは本当に近寄れる。それだけ大きく写せるわけだ。

"専用のマクロレンズを買うほど予算がない"というなら、通常のレンズのフィルターネジに装着し、最短撮影距離を変えられる「クローズアップレンズ」がある。サイズや倍率の違いによって種類は多いが、安いものなら2000円前後から、高くても1万円程度と安価に購入できる。クローズアップレンズでどれぐらい近寄れるかは、一般的にNo1~5の番号で表示される(No.10もある)。「100」をこの番号で割ると、レンズのピント位置が無限遠の時にそのフィルターで可能な最短撮影距離(cm)が計算できる。たとえばNo1なら最短撮影距離は1m、No5なら20cmという具合。つまりNo.と撮影倍率は直接は関係していない。また、クローズアップレンズはフィルターと同じ構造になっており、重ねて使うことも可能。No2とNo3を足すとNo5と同じ20cmまで撮影できるようになる。

もちろんクローズアップレンズにもデメリットはあって、画質の劣化(特に周辺で像が流れる)、全体に暗くなるといったことが起る。それでも安価なので、一度使ってみる価値はあるだろう。

クローズアップレンズでは物足りない、もっと大きく撮影したいとなったら、やはりマクロレンズの出番だ。マクロレンズにも複数の焦点距離があるが、焦点距離の違いは、そのままワーキングディスタンスと呼ばれる実質的な撮影距離の違いになる。被写体に近寄れない昆虫などの撮影では焦点距離が長いほうが有利だが、あまりに長いと使いこなしが少々面倒になる。だいたいワーキングディスタンスが30cm程度になる90~100mm程度が使いやすいといわれている。

ケンコーのクローズアップレンズ。簡易マクロ撮影に最適

冬の朝、降りた霜をマクロで撮影。
ニコンD70+タムロンAF28-300mm F
3.5-6.3 XR+ケンコーMC CLOSE-UP No.3
L+Fine(JPEG)
270mm(405mm相当)
ISO200
プログラムAE(F6.3、1/500秒)
分割測光/WB:晴天
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90mmの焦点距離を持つタムロンの「SP AF90mm F/2.8 Di MACRO1:1」

マクロといえば花の撮影が定番。
ニコンD70+タムロンSP AF90mm F
2.8 Di MACRO1:1
L+Fine(JPEG)
90mm(135mm相当)
プログラムAE、補正+0.7EV(F13.0、1/400秒)
ISO200
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