プラットフォーム/ワークベンチの新機能
まずは、Eclipseプラットフォームおよびワークベンチの新機能から概観していこう。
新しくなったユーザインタフェース
Eclipse 3.3を起動してすぐに気づくのがユーザインタフェースの変更だ。ビューやエディタのタブ部分の色が変更されているほか、非アクティブなタブにも常にアイコンが表示されるようになったため、領域が狭くタブのラベル部分が表示しきれない場合でもアイコンによってビューを判別しやすくなった。
図 1: Eclipse 3.3のワークベンチ |
また、メニューバーを非表示にすることもできる。ディスプレイの解像度が低い場合にはメニューバーを非表示にするといいかもしれない。
なお、Eclipseの設定ダイアログの「General」→「Appearance」で設定を変更することで以前のユーザインタフェースを使用することもできる。
Windows Vistaをサポート
Eclipse 3.3ではWindows Vistaが正式にサポートされている。SWTには新たにWPF版が登場し、Eclipse.orgのダウンロードページではWindows向けのバイナリとして通常版とWPF版の2種類が提供されている。ただし、いまのところWPF版は早期アクセス版という位置付けとなっている。
また、Vistaとは無関係だがWindows向けにこれまでのeclipse.exeだけでなくeclipsec.exeという実行ファイルが追加されている。これはEclipseをコンソールアプリケーションとして起動するもので、コンソールにEclipseの標準出力の内容が出力される。プラグインやEclipseRCPアプリケーションのデバッグ用途に利用するといいだろう。
クイックアクセス
[CTRL]+[3]でクイックアクセス機能が利用できる。これはEclipseのアクションやビュー、パースペクティブやウィザード、設定項目など様々な要素に対し、インクリメンタルサーチでアクセス可能な機能だ。アクションを選択すればそのアクションを実行できるし、ビューやパースペクティブを選択すればビューやパースペクティブを開くことができる。
図 2: クイックアクセス |
一見地味な機能だが、Eclipseの機能をいわば横断検索可能な機能であり、簡単に目的の機能にアクセスすることができる。慣れると非常に便利な機能だ。
ビューやエディタの最大化
ビューやエディタのタブ部分をダブルクリックすることでその領域を最大化することができるが、このとき最大化した領域以外のビューやエディタがサイドバーやステータスバーにアイコン表示されるようになった。
図 3: エディタを最大化したところ |
アイコン表示されたビューは高速ビューとして呼び出すことができるので、特定のビューやエディタを最大化したまま操作を行うことができる。
テキストエディタ
テキストエディタは以下のように細かい部分で様々な改善が行われている。
マウスをトリプルクリックすることで行選択が可能になった
範囲選択後にドラッグすることでテキストの移動が可能になった
[CTRL]+[ALT]+[J]で複数行を一行にまとめることができるようになった
[CTRL]+マウスホイールでページ単位でのスクロールが可能になった
Eclipseを再起動しても終了前のキャレット位置を記憶するようになった
外観に関する部分では、設定を変更することで改行やタブなどの空白文字をエディタ上で可視化することができる。これまでもMergeDoc Projectで開発されているJStyleというプラグインで同様のことが可能だったが、標準で可能になったのは嬉しいところだ。
図 4: 空白文字の表示 |
なお、これらのテキストエディタの新機能はJavaエディタも含め、Eclipseのすべてのテキストベースのエディタで利用可能だ。
ワーキングセット
ワーキングセットとはワークスペース上のリソースのうち、必要なものをまとめて1つのセットにしたもので、ナビゲータービューやパッケージ・エクスプローラービューにおいて膨大なリソースの中から必要なものだけをフィルタリングして表示することができる。Eclipse 3.3ではこのワーキングセットの使い勝手が向上している。
たとえばパッケージ・エクスプローラーでファイルやフォルダを選択し、右クリックから「Asign Working Sets...」を選択するとその要素をワーキングセットに追加/削除することができる。
図 5: リソースをワーキングセットに追加 |
また、ワーキングセットの選択や編集を行うためのボタンをツールバーに表示できるようになった。これらのツールバーボタンはデフォルトでは非表示になっているが、「Window」メニューの「Customize Perspective...」でパースペクティブのカスタマイズを行うことができ、ここで表示/非表示を切り替えることができる。
図 6: ワーキングセットに関するコマンドを有効にする |
図 7: ワーキングセットに関するツールバー |
ワーキングセットの機能そのものは以前から存在したものの、Eclipse 3.3ではより利用しやすくなったといえる。