デザイン的にはかっこよいのだけれども、使い勝手が悪い……。という製品にしばしば出会う。では、スウェーデンで工業デザインを手掛ける彼らは、デザインにおける装飾性と機能性のバランスをどう考えているのだろうか。また、よいデザインとは一体何を意味するのだろうか。4日に行われたセミナー後の質疑応答では、その話題が持ち上がった。
Konstfack(スウェーデンの国立芸術大学)のWuickman教授は、「製品の機能性を阻害してしまう装飾は、本末転倒でよくない。反対に、よい装飾は製品の作られた文化的背景を表したり、民芸品やコーポレートデザインのように社会と社会をつなげる役割を担うものだと思う。また技術は日進月歩であり、その時々の技術力によって、装飾が機能面に寄与することもある。たとえば、マウンテンバイクの持ち手は、長時間ハンドルを握る手に負担をかけないような滑り止めの溝が必要だった。その溝に装飾性の高いデザインを施すことで、装飾性と機能性のバランスを保つ工夫がなされた例がある」とした。
一方、HOGLUND氏は「現在、スウェーデンではミニマル・イズムという装飾性を排除したシンプルなデザインが主流となっている。こうした"流行"や"モダンさ"といった観点からも、その時々でデザインは影響を受けている。しかし、将来的にその傾向がずっと続くわけではなく、デザインの流行はその時々で見直されていくものだ。どういったユーザーが、どういった場面で使うかというユーザー中心の視点を考慮しながら、装飾面と機能面のバランスをとることが、いつの時代でもデザインには大切だ」と語った。