-- 先ほど、LinuxやWindowsなどの開発者がMac OS Xに移行しつつある、開発者が増えてきていると伺いましたが、どういったところが彼らを移行させる要因とお考えでしょう?
オカモト: それには2つあります。まず、オープンソースは常に我々の戦略に含まれています。また実際のところ、古くからWWDCに参加している開発者の多くがオープンソースの開発者でもありました。そうした意味では、Linuxの開発者は以前からいたのです。
次に、我々には今勢いがあるということ。適切なテクノロジー、製品を投入しているため市場の支持が後を追いかけてきており、多くの人が我々の製品を手にしています。我々は1年前の誰かではなく、先頭を走るトップランナーです。
Linux由来のアプリケーションは(そうした製品や)Mac OS Xの上でより良くなり、花開いています。そうしたことから、主だったオープンソースプロジェクトの開発者が移ってきています。
それだけでありません。新たな分野のエンジニアも増えています。科学 / ITといった分野の人たちです。企業内SIerがMac OS Xを再び扱うようになってきています。
多くの開発者の手元には、いまMac OS Xがあります。多くの人の手にある、それが勢いを証明しています。
-- では、Windowsの開発者はいかがでしょうか? ちょうど今、Windows Vistaが発売され、開発者は非常に大変な思いでこの新OSへの対応を行っています。同じWindows間で苦労している彼らにとって、Mac OS Xという異なるプラットホームへの移行はさらなる苦労をもたらすのではないでしょうか?
オカモト: Windows開発者のMac OS Xへの移行は大変だとは見ておりません。重要なのは、新しい開発方針、新しいパラダイムを理解していくことです。Windowsにあるものをそのまま持ってくるのではなく、Mac OS Xの持つフレームワーク、ツール、そのほかどういったものが用意されているのかを知り、製品の戦略を立てていくのが重要です。
それは、移行の痛みではなく、これまでできなかった新しいアプリケーションを実現できるチャンスなのです。
それに、「Mac OS Xへの移行」は、我々自身がすでに行っており、深く理解しています。AppleもMac OS X開発者も、6年かけてMac OS Xに移行してきたのです。Mac OS Xコミュニティにはその大きな経験があり、ノウハウがあります。
知見はすでにあるのです。何もなかったMac OS X開発者に比べ、よりスムーズに移行できることでしょう。そして実際に、開発者の増加が起こっています。
-- すでにノウハウが蓄積されている?
オカモト: そう。我々Apple、開発者、一緒になってMac OS Xというコミュニティを形作り、コミュニティの経験として移行につらなる情報を共有しています。その結果、ツールとして具体化されているものもあります。新たな開発者もコミュニティに加わることでそうした知見を利用でき、誰もがメリットを受けられるようになっています。Windowsからの移行も大変ではありません。
-- そのメリットを受けるには? WWDCに参加することで、Mac OS Xコミュニティに加わる道が開けますか?
オカモト: その通り。WWDCには世界中からMac OS Xコミュニティの面々が集まる。我々のセッションだけではなく、そうしたコミュニティへの親交を深めるというのも大きな目的です。
先にお話ししたように、現在我々には勢いがあります。Mac OS Xはもちろん、iPod、Apple TV、そしてiPhoneと。勢いだけではありません。素晴らしいツール、テクノロジーもあります。今というのは、WWDCに参加する素晴らしい機会なのです。
-- 本日はありがとうございました。
(インタビュアー=白山貴之)