そこで、新Core 2 Duoでは、FSBのアップを埋め合わせるため(と言って良いだろう)の新たな省電力機構が設けられているのが特徴となっている。

Dynamic Front Side Bus Frequency Switching

日本語に直訳すれば「動的にFSBをスイッチする」というわけで、意味的には実にわかりやすい。

従来のモバイルCore 2 DuoはEnhanced Intel SpeedStep Technology(略称EIST)がサポートされている。動作状態に合わせて動的かつ段階的にクロックを低下させる技術だ。CPUがビジーではないとき、段階的にLFM(Low Frequency Mode)に切り替わっていくよう設計されている。

新Core 2 Duoでは、このEISTを拡張する形でFSBクロックを1/2にまで低下させるモードが追加される。具体的にはFSBクロックを200MHzから100MHzに低下させ、CPUコアクロックは最低600MHzにまで低下する「Super LFM」にスイッチする。FSBを常に高い状態に保つのではなく、動的に変化させることで、性能と消費電力のバランスを取ろうというわけだ。

なお、Dynamic Front Side Bus Frequency SwitchingはEISTの延長として実装されているため、実機(ノートPC)上では特別な設定なしに利用できる。省電力の設定も従来のCore 2 Duo搭載機と変わらない。したがって、利用者が意識するような仕組みではないと考えて良さそうだ。

Enhanced Intel Deeper Sleep

もうひとつバッテリライフを延長する新たな機能としてEnhanced Intel Deeper Sleepが追加されている。

ご存じの読者も多いだろうが、現在のCPUは4つの省電力ステートを持つ。

  • C1 - 普通のHalt状態
  • C2 - 即時起動が可能なスリープ状態
  • C3 - 深いスリープ(Deep Sleep)
  • C4 - 完全なスリープ状態(Deeper Sleep)

OSの稼働状況によりCPUのステートが移行し、コア電圧も低下させていく。ノートPCをスリープさせたときのステートがC4ステートと呼ばれるスリープステートで、CPUコアの動作はほぼ停止するのだが、キャッシュメモリのデータは保持されている。キャッシュメモリはCPUの中でもトランジスタ数が多く、その消費電力は馬鹿にならない。C4ステートで、CPUの消費電力を最大95%程度低下させられるとインテルは述べてきたが、残りの5%の、すべてではないだろうが一部はキャッシュメモリに消費されていると考えられる。

そこで、新Core 2 Duoではキャッシュメモリをフラッシュ(無効化)してキャッシュメモリの電源もオフにしてしまう「DC4ステート」をサポートする。これがEnhanced Intel Deeper Sleepというわけだ。

この機能もユーザーが目に見える形で実機には実装されていなかった。また、実際に使用するとなるとOS側の対応が必要になる可能性もある。DC4ステートがもたらすメリットとしては、たとえばノートPCをスリープさせた状態でのバッテリの持続時間が長くなることが考えられるが、今回は同スペックの比較対象機が用意できなかったため明確に長くなったというデータも得られていない。