現代のIT・データ社会において、企業の事業継続を支えているデータセンター自体の事業継続は、企業活動を継続するうえで欠かせないものである。1分、1秒たりとも止められないデータセンターは、新型コロナウイルス禍のもとで、いかにノーダウンオペレーションを継続させているのか。今回はアット東京を例にとり、データセンターの業務を継続する環境を構築した人々の取り組み、その舞台裏について、3回の連載で紹介する。
ワークスタイルが急変! 従来からのやり方を根本から見直し変えた人たち
新型コロナウイルス禍では、関係部署の努力でテレワークの環境が整った。そして、それを追いかけるように、制度や業務プロセスが至急見直され「WITHコロナ」を見据えた制度や業務プロセスがつくられた。それを実行するためには、「根本から考え方を変える必要があった」という。連載の最終回になるこの3話目では、それらをごく短期間のうちにやりとげた「会社運営における裏方」の現場の裏話と、現在の働き方そして環境に対する会社内の声を紹介する。
実際彼らにインタビューし始めたところ、この大切な「下支え」をしてきた部門、メンバーが非常に多いことに驚いた。そしてデータセンターはその環境、設備を提供するところだが、それらを支え、営業している社員たちをさらに支えているのが彼らである。 そこで最終回である今回は「写真プラスひとこと」、というスタイルで、なるべく多くの部門、メンバーを紹介していきたい。
ワークスタイルにあわせて、制度と方法を変革 ―人事部門―
●経営企画本部 人事部労務グループ
「働き方がガラッと変わりましたので、勤務制度の内容全般を、在宅勤務が基本となった内容に変えました。これが一番大きなチャレンジでした。休暇の取り方も育児休暇や休憩のカウントのしかたも変わりましたし、派遣社員のみなさんについてはどうするかなど、ひとつひとつについて議論し、試行錯誤しました。当社としては、ここまで短期間でさまざまなルール変更をしたことはないのではないかと思います」
「私は4月入社です。入社数日で在宅勤務になり、それから約2か月間出社しませんでした。今回新たな人事制度を作るにあたり、右も左もわからないまま、社内の声も聞こえないしみなさんの顔も見ることができないというなかで、どうしたら会社のためになるのかが見えづらかったのが大変でした。一方で、私は入社したてですから、フラットな目線で会社を見ることができたと思います。アット東京に入社しての初仕事が制度を変えたこと、というのは後々まで残りますし非常に思い出深く、会社の一員になったと実感できました」
2人とも「"社員のために" "会社のために"という気持ちでしっかり作ってくれた、本当によかった、ありがとう」という声を聞いて、報われた、大変嬉しかったという。
●経営企画本部 人事部人事グループ
「劇的に変わったのは、すべてオンライン完結させるというところです。最終面接以外、すなわち説明会、最初の面接、適性検査などの採用フローをすべてオンラインにしました。今でこそみんなようやく慣れて当然のようにオンラインで実施していますが、当初は対面でないことに対して、本当に大丈夫なのかという不安がありました。世の中一般もまだ慣れていなかったということもあり、まず導入することに対して共通認識を作るところからのスタートでした。結果、まさに建前的なものではなく本質を見よう、ということが、当社のなかでも世の中の流れとしてもできたのではないかと思います。たとえば面接するとしても、何が一番重要なのかと考えて、効率のよいやり方を考えるようになりました。会社として成果を出すときに最優先事項は何かという議論が一層しやすくなったと思います。プロセスの手続きの煩雑さをちょっと削るような動きになってきたというのも感じます」
「新入社員と人事の顔合わせの1回目を4月中に実施しました。1回目は横のつながりがまだなくて、みんな"同期の誰ともプライベートも話していない"ということで少々心配でした。のち、研修発表会もオンラインでおこないましたが、その時にはLINE WORKSなどでお互い話していたようで、もう横のつながりができており、同期内でも仲が深まっている雰囲気がしてほっとしました。誰かが発言するときの反応の様子が当初と違い、距離感が以前と変わって仲良くなってきたと感じて、こういう環境下でも絆を深めていけるのだと、見守る側としては嬉しかったです」
今後は、さらにオンラインでの採用活動の内容を工夫して、全国にアプローチしていきたいという。
プロセスを変え、現状にあわせて改善 ―経理部門―
●経営企画本部 経営管理部 事業管理グループ
「新型コロナウイルスの流行が3月、つまり決算間近に始まったので、そこは非常に苦労しました。社員の出社日数やタイミングがばらばらで、データセンターの現場の技術者はローテーションで出社したり、営業はほぼ在宅勤務だったり、と。当初は紙の処理が多く、手順をどのように改善すれば滞りなく、在宅勤務でも処理がすすむか、と考えて改善してきました。このような状況になって、在宅が増えて世間が一歩も二歩も進みましたから、我々もみんながやりやすいようにしていこうと、改めて強く意識しました」
「出社率を下げるために、請求書なども従来は紙だったところをPDFや画像データなどで処理をするようになりました。一方で、我々決算経理担当は、通常通りのスケジュールで決算をしめなくてはならず、戸惑いました。それと並行して経理業務を在宅勤務でもできるように、処理のフローをどんどん変えていくという要求を受け、それらを両立させるのは難しかったです。こちらの立場としては会計上の厳正的確処理とか内部統制をおろそかにはできず、とはいえ譲るところは譲って一線は守りながらフローを改善し、結果なんとか実現できて、本当によかったです」
経理方の仕事は紙で扱うものが多く、今後電子化にしていかねばと思っていたが具体的には踏み込めておらず、そういった部分の業務改革が加速している昨今、さらに業務の改善をしていきたいという。
業務を全うすることでお客さまに貢献 ―販売管理部門―
●経営企画本部 経営管理部 販売管理グループ
「これまで紙で郵送していた請求書をデータにして送ることができるように切り替え、見積書も角印を押していたものから印影をプリントする形式にシステム変更しました。とはいえ、お客さまによっては紙とPDF両方が必要で、これは紙でこれはPDFで、などのご都合があります。そこを間違えてお客さまにご迷惑をかけないように注意しつつ、引き続きの運用もありながらの対応をしています。私たちはお客様の声を直接お聞きする機会がほぼありませんでした。今回営業のメンバーから"請求書をPDF化して送ってほしい"という切実な声を聞いて実行しましたが、普段からもっとお客さまの声を聞くことができるような仕組みや雰囲気を作っていきたい、と強く思いました」
「今まで紙ベースでやっていたことが電子データで対応となり、慣れるのは少し大変でしたが、在宅勤務でも仕事ができるような制度、環境を整えてくださった方々には感謝しています。これまでも在宅勤務の制度はありましたが、誰でも普通に使える制度になりました。テレワークすることで仕事をつづけることができる環境ができたのではないかと思いますし、新型コロナウイルスがきっかけでありましたけれど、多様な働き方ができるように改革のきっかけになったのはよかった点だと思います」
本当に重要な仕事が何なのか考え、ちょっとしたアイデアを使って、これからも仕事にいろいろな工夫を加えていこう、そう考える契機になった、と2人は口をそろえた。