近年、働き方改革やDX推進の機運が高まりを見せている。さらに、2020年からは新型コロナウイルス感染症の拡大により、一気にテレワークが拡大。企業における働き方の変革は、かつてないスピードで進んでいる。
そうした状況にあって業務負担が増しているのが、総務部や人事部といった管理部門だ。たとえば全社に向けて重要な依頼を発信・回収するのは管理部門の重要な業務だが、なかなか期限内に回収しきれないという悩みを抱えている担当者も多いだろう。
しかも、テレワークが拡大したことで、依頼の回収はさらに難しくなっている。なぜなら、多くの企業が社内の伝達手段として新たにビジネスチャットを採用しているからだ。メールやイントラネット、チャットなど複数のツールで日々多くの情報を受け取っている従業員としては、以前よりも管理部門からの依頼を見落としがちになってしまっている。
また、テレワークにより対面する機会が減ったことで、フォローが難しくなったことも依頼の回収を難しくしている要因といえるだろう。
こうした問題を放置すれば、次第に組織の統制は失われていく。従業員に組織ルールやコンプライアンスを遵守させ、違法行為や事故を未然に防止するためにも、従業員に依頼を確実に実施させることが重要だ。
では、どうすれば依頼を適切に管理し、従業員に実施を促せるのか。
ニューノーマルになって顕著になったこのような課題を解決する画期的なソリューションが、株式会社日立ソリューションズよりリリースされている「グループタスク リマインダーサービス」だ。今回は、全社レベルで依頼管理を効率化し、確実な伝達と回収を実現して企業のコンプライアンス強化につなげられる本ツールの特徴や魅力を紹介する。
開発のきっかけは自社の課題を解決するため
日立ソリューションズから提供されているグループタスク リマインダーサービスは、日立グループの企業を中心にサービス展開しており、グループ外からも多くの引き合いや問い合わせを受けている。もともとは外部向けではなく、同社内で使用するために開発された社内ツールだった。
話は2014年頃までさかのぼる。当時、同社では「管理部門からの依頼が多すぎて見落としてしまう」「イントラネットの依頼案内が探しづらい」などといった声が社内の現場からあがっていた。そういった声に応えるべく、管理部門ではイントラネットの仕様を改良するなど地道に改善を重ねていたが、なかなか根本的な解決には至らなかったという。
転機となったのは2016年。同社が「ワークスタイル改革」を推進し始めたことだった。それによりオンライン会議ツールなどのITソリューションを積極的に導入し、長時間労働の抑制やコミュニケーション支援などを進めていった。
その中で、課題にあがってきたのが「タスクの見える化」である。業務効率化を図るには、一人ひとりのタスクを見える化して、管理しやすい・実施しやすい状態を作らなければならない。そこで、IT部門が社内向けに開発したツールこそがグループタスク リマインダーサービスだった。
グループタスク リマインダーサービスの効果は劇的だった。それまで、管理部門が従業員向けに依頼メールを投げても、期限内の回答率の平均が67%程度しかなかったところが、グループタスク リマインダーサービス導入後は98.2%にまで上昇したという。※
(※ 当社実績 発信依頼数2020年3月~2021年4月:228件)
さらに、アンケート等の回答率も、メールとグループタスク リマインダーサービスでは大きな差が見られた。メールでは回答率が平均20%程度だったところが、グループタスク リマインダーサービス導入後ではなんと81%にまで改善した。しかも、まだこのツールが社内に浸透しきっていない時期の結果だったというから驚きだ。
この成果は、同社にとって想像以上のものだった。「同じような課題を抱えている企業は多いはず。グループタスク リマインダーサービスは、そうした企業にもマッチするのでは」そんな想いから、同社は2020年4月より、グループタスク リマインダーサービスの外部提供を開始したのだ。
ここで疑問を持つ人もいるだろう。
いわゆるタスク管理ツールは他にも多数存在する。もちろん同社としても、そうした一般的なタスク管理ツールも試していた。ではなぜ、一般的なタスク管理ツールではうまくいかなかったことが、グループタスク リマインダーサービスならうまくいったのか。
その理由は、グループタスク リマインダーサービスにしかない、数多くの特性にある。
依頼の進捗管理に組織レイヤーを有効活用
グループタスク リマインダーサービスと、一般的なタスク管理ツールの違い。それは、依頼管理に「組織レイヤー」の考え方を導入しているかどうかにある。
一般的なタスク管理ツールでは、依頼の発信者と実施者がタスク管理を行う。そこにあるのは「依頼する者」と「依頼される者」という2つの関係性だけだ。しかも、必ずしも「依頼する者」が「依頼される者」よりも上位レイヤーとは限らないため、「依頼する者」は「依頼される者」に強く指示できないことも多い。だからこそ、依頼される側は時として依頼を後回しにしたり、放置したりしてしまうのである。
グループタスク リマインダーサービスは、ここにもう1つ、「依頼を管理する者」という立ち位置を設けた。依頼を管理する者とは、すなわち「依頼される者」の直接の上司にあたる立場の人間である。グループタスク リマインダーサービスを使うと、「依頼する者」が「依頼を管理する者」に対して、部下のタスク状況を確認してフォローを行うよう依頼できる。
たとえば、社内に営業本部という組織があるとする。その下には、第1営業部、第2営業部があり、それぞれの営業部の中に営業1課、営業2課が存在する。そして、営業本部、および各営業部と課には、本部長、部長、課長という役職の人間がおり、課長が一般従業員を管理している。
この営業本部に所属する従業員に対して、総務部から依頼を発信する。発信された依頼はグループタスク リマインダーサービスにより、営業本部メンバー全員のタスクとしてセットされる。ここまでは一般的なタスク管理ツールと同じだ。
画期的なのは、ここからだ。たとえば、第1営業部 営業1課の課長は、自分の部下がタスクを実施したかどうかをグループタスク リマインダーサービスを通じて簡単に把握できる。誰が実施して誰が実施していないのか、全体の実施率や各人の実施状況まで細かく確認できるのだ。たとえば、従業員アンケートであれば、「現在の回答率は83%です」といった形で表示される。
同様に、営業1課と営業2課をまとめる第1営業部の部長は、それぞれの課のメンバーがタスクを実施しているかどうかを簡単に把握できるし、第1営業部と第2営業部をまとめる営業本部長も各部署のタスクの実施率を把握できる仕組みになっている。
依頼の発信者は、タスクを実施していないメンバーに対して実施を促すだけでなく、その上位レイヤーの課長や部長、本部長といったマネジメント層に対しても実施をフォローするよう依頼できる。この仕組みにより、依頼の実施者を課長がフォローし、課長を部長がフォローし、部長を本部長がフォローするという、実施者に近い管理者による現場レベルでのフォローが可能となり“ボトムアップによるフォロー体制”を構築できるのである。
もちろん、従来のタスク管理においても、マネジメント層が部下のタスク処理状況を無視していたわけではないだろう。管理部門から「アンケートの戻りが悪いので、回答するよう呼びかけてください」とお願いされ、部下に働きかけることもあるはずだ。
しかし、部下に働きかけるといっても、メールやチャットを一斉送信するか、全体ミーティングで声かけを行う、といったところだろう。一人ひとりの実施状況まではなかなか把握できないし、メンバー全員に対して実施の報告を求めるのは無理がある。
その点、グループタスク リマインダーサービスは実施者それぞれの実施状況を上司がひと目で把握できるほか、回答していない者へのフォローメールもテンプレートが用意されており、簡単なカスタムだけで送信できる機能を搭載している。これだけ管理が簡単であれば、依頼発信者からのフォロー依頼に対しても、負担なく対応できるというわけだ。