小酒井氏 つい先日のことですが、2019年5月8日にOracle Cloudの東京リージョンが稼働を開始しましたね。非常に期待をしています。
桑内氏 ありがとうございます。東京リージョンは、オラクルが「Generation 2」(Gen2)と呼んでいる新しいアーキテクチャで構築されています。この「Oracle Cloud Infrastructure」は、これまでクラウド移行がなかなか進まなかった、基幹系でのクラウド利用に対するニーズに応えるものです。従来のクラウドのメリットを継承しつつ、「Oracle Cloud Infrastructure」では、基幹系に求められる性能やセキュリティといった側面を大幅に強化しています。
先行して従来のクラウドでOracle Databaseをご利用いただいているお客さまから上がっていた不満に「性能が安定しない」というものがありました。原因としては、「オーバーコミット」がサービス上の仕様だったということがあります。これはサービス上の仕様なので、お客さまにも了承の上で契約をしていただくのですが、基幹系の場合は大きな問題になってしまいます。
また、オラクルが得意とするデータ管理、つまりデータベースは、性能と整合性を両立させるのが難しい領域でもあります。Webサービスのようなものであれば、負荷が上がったら、インスタンスを追加して処理を並列化するといった対応で効率的に性能を上げられるのですが、データベースについては単にCPUインスタンスを増やすといっただけでは、うまくスケールさせることができないのです。
そういった要因もあって「オンプレミス以上のコストをかけても性能が出にくいし、安定しない」というご意見を多く頂いていました。「Oracle Cloud Infrastructure」では、オーバーコミットをなくし、お客さまが契約した性能は、きちんと保証できるようなアーキテクチャになっています。
小酒井氏 「性能をきちんと保証する」と聞くと、パートナーとしては心強いですね。セキュリティ面では、どのような部分が変わったのでしょうか。
桑内氏 従来のクラウドには、ベースとなっている仮想化基盤そのものの脆弱性が、その上で動いているあらゆるリソースを危険にさらしてしまうという課題がありました。「Oracle Cloud Infrastructure」では、基盤とは独立したセキュリティ機構を用意することで、そうしたリスクをさらに減らしています。
また、「Oracle Autonomous Database Cloud」では元々オラクルが得意とする強固なデータベース・セキュリティに加え、最新のセキュリティパッチを自動的に適用することで脆弱性を突いた攻撃からのリスクを低減することが可能になります。
小酒井氏 Gen2 Cloudのアーキテクチャと「Oracle Autonomous Database Cloud」の組み合わせは、これまで、基幹系のクラウド移行に不安を感じていたお客さまにも、強くアピールできるものになりそうですね。
Oracle Autonomous Database Cloudの「自律化」機能については、われわれも評価をさせていただいているのですが、これまでDBAが工数をかけてやっていた、インフラ管理、監視、チューニングといった作業が、非常に高いレベルで自動化されていることに驚きました。実際に、大容量データに対するクエリを投げて、Oracle Autonomous Database Cloudの標準状態と、スキルの高いDBAがチューニングした状態でパフォーマンスを比較するというテストも行ったのですが、標準状態のほうが、人によるチューニングよりレスポンスが良かったという結果も出ています。
データベースを使われているお客さまからの問い合わせでは、パフォーマンス・チューニングに関するものがかなりの率を占めるのですが、今後は少なくなっていくのかもしれません。あと、先ほど触れたパッチ適用であったり、障害時のフェイルオーバー処理などもクラウド上で自律化されることで、DBAにとって負荷が高かったタスクがさらに軽減されていくのはありがたいですね。
桑内氏 自律化のメリットとしては「ヒューマンエラー」がなくなるというのもあります。Oracle Autonomous Database Cloudでは、バックアップ/リカバリの設定などの定常運用作業も含めて完全に自動化されています。担当者のちょっとした不注意が、システム障害やビジネス上の損失につながるといったリスクは、さらに減らすことができると思います。 また、導入へのハードルに関してもOracle Autonomous Database Cloudでは、既にお客さまが所有されている、Standard Edition製品を含むOracle Databaseのライセンスを持ち込んで、通常よりも大幅にリーズナブルな価格でOracle Autonomous Database Cloudを利用できる「Bring Your Own License(BYOL)」という提供形態も用意しています。最小構成で月額4~5万円といったコスト感から最新のAutonomous Databaseの機能をご利用頂けますので、ぜひ既存のお客さまにもご活用いただきたいと思っています。