Dell EMCはなぜ他社を圧倒できるのか

Dell EMCがハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)市場を独走している。昨年大きく成長したHCI市場は、さまざなベンダーがしのぎを削るなか、圧倒的なシェアを獲得しているのがDell EMCとNutanixだ。

Dell EMCの強みの1つにポートフォリオがある。同社にはSDS技術やハイパーバイザーの種類、特徴に応じた豊富なHCIソリューションがあり、ユーザーは自社環境に相応しいものを選択できるのだ。

  • Dell EMCのHCIソリューションポートフォリオ

また、ソリューションごとに適したワークロードや規模に応じてさまざまなモデルを展開していることも強さの秘密だ。例えば、VMware環境に特化したHCIアプライアンス「VxRail」では、一般的な用途のモデルから、エントリーモデル、VDI最適化モデル、パフォーマンス最適化モデル、高密度ストレージモデルなどで幅広い企業ニーズにこたえている。

  • 「VxRail」ソリューションのラインアップと特徴

アプライアンスと共に同社の強みを支えるのが彼らの「Ready Node」、つまり標準サーバSKUによる認定HCI構成だ。現在Microsoft S2DとVMware vSANで提供中だが、ソフトウェアベンダーの認定があるだけでなく、ハードは保守パーツ単位まで検証済み、保守サポートもReady Nodeとして受けられるので、ユーザーはいわゆる「リファレンス構成」とは違う安心感を持てる。

さらにHCIの強さを引き出す土台となっているのがサーバ製品「Dell EMC PowerEdge」の存在だ。インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー搭載の第14世代PowerEdgeサーバは、これからのデータセンターの"基盤"となるべく設計が施されている。HCIというと、SDSを中心としたソフトウェア技術ばかりが要になると思われがちだが、実際には、例えば外部ストレージを使わずサーバでSDSを稼働する点ひとつを取っても、サーバの責任はむしろ増えている。Dell EMCは、この時代にユーザーのために何ができるかという考えに舵を切り、むしろサーバ製品のR&D投資を強化したという。

Dell EMCインフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 製品本部 岡野家和氏

「第14世代のPowerEdgeサーバは、Dell EMCのすべてのソリューションの基盤に位置づけられていますが、特にHCIについては、製品開発に先立ち大規模なヒアリングをHCIユーザーへ行うところから徹底してきました。」(岡野氏)

HCIは何らかのコモディティサーバさえあれば構築できると考えるのは早計だ。HCIのことを考え、HCIの真価を発揮するためのオープンでスタンダードなハードウェアであることが重要なのだ。

Nutanixとの共同ソリューション「XC」を支える"基盤"

第14世代PowerEdgeが持つさまざまな新機能は、自社ソリューションだけではなく、パートナーと展開するソリューションでも活用されている。HCIソリューションポートフォリオのなかで、シェア拡大の立役者となっているのが、Nutanixとのパートナーシップのもとで展開される「Dell EMC XCシリーズ」だ。

岡野氏は「XCシリーズは、HCIのハードウェアにPowerEdgeサーバを利用し、SDSを中心としたソフトウェアをNutanix製品で構成するHCIソリューションです。2014年に第12世代PowerEdgeサーバを用いたアプライアンス製品の提供を開始して以降、2015年の第13世代PowerEdgeの採用やオールフラッシュノードの展開、2016年のインテル® Xeon® プロセッサーE5 v4ファミリーの採用など、進化を続けてきました。今では、Dell EMCのマルチハイパーバイザー環境向けHCIソリューションの中心的存在になっています」と説明する。

冒頭にも触れたように、Dell EMCとNutanixがHCI市場を二分している。じつは両社は競合というよりパートナーであり、HCI市場はこの2社が圧倒的にリードするという市場なのだ。

ニュータニックス・ジャパン シニアシステムズエンジニア 川田智史氏

HCI市場のパイオニアであるNutanixがシェアを獲得するのは、ある意味当然と思えるかもしれない。しかし、ここで興味深いのは、Nutanixの売上高に占めるXCシリーズの割合も高いことにある。ニュータニックス・ジャパンのシニアシステムズエンジニア 川田智史氏は、こう話す。

「Nutanixは、純正アプライアンス製品であるNXシリーズに加えて、Dell EMCを含め複数のハードウェアメーカー様にOEMアプライアンス製品をご販売いただいています。こうしたさまざまなプラットフォームの中でも、XCシリーズの貢献度は目立って高いことが特徴です。特に第14世代PowerEdgeを用いたXCシリーズは、多くのHCI向けの機能を提供していただいたことで、多くのお客様から高く評価されています」(川田氏)

XCシリーズは出荷開始から45ヵ国、1800以上のユーザー、累計ノードも2万2000を超えています。Dell EMCとNutanixは、お互いの強みを持ち寄りながらお互いのビジネスを伸ばすというエコシステムを見事に実践してきた。そして、その両社のビジネス成功の基盤となってきたのがPowerEdgeなのだ。

  • 第14世代PowerEdge サーバ版XC シリーズアプライアンス

スペックシートだけでは見えないPowerEdgeサーバの強み

第14世代PowerEdgeサーバとNutanixを使ってHCIを構成することでユーザーにはどんなメリットがあるのか。岡野氏と川田氏は、大きく3つの視点から第14世代PowerEdgeサーバのメリットを解説する。

1つめは「新機能・新技術」だ。「具体的には、フラッシュストレージ対応、GPU対応強化、スマート冷却、ハードウェアRAID対応のブート用PCIeデバイスなどが挙げられます。これらは、Dell EMCが独自に開発したものやパートナーと共同して開発し業界標準として推進しているものなどが含まれます。日本の企業からの強いニーズを受けて実装したものも少なくありません」と岡野氏は説明する。

フラッシュストレージ対応は、2UラックサーバにNVMe PCIe SSDを24本搭載できる高密度がウリだ。他社の搭載密度は多くとも20本で、なかにはNVMe PCIe SSDに対応していない製品もある。高速NVMeフラッシュを高密度に搭載できることで、ストレージI/O重視の高負荷ワークロードへの対応力は大きく向上する。

GPU対応強化は、機械学習やディープラーニング、3D CADのVDIなどで活躍する。ディープラーニングでは幅広いマルチGPU構成の提供に加え、この世界でデファクトとされるUbuntuのテクニカルサポートも提供できるのが特徴という。VDIでは、「Dell EMC XCシリーズ」の最新世代機「XC740xd」に最大3基のTesla M60を搭載するvGPU VDIソリューションを、VMware HorizonとCitrix XenDesktop向けに提供中だ。

フラッシュやGPUの高密度化を解決するのがスマート冷却「マルチベクタークーリング」という新技術だ。搭載しているPCIeの種類を自動で認識し、風量を自動管理・制御して、エリア単位で冷やし分ける。

「CPUヒートシンクと冷却ファンをカスタム設計し、内部レイアウトの設計にもこだわることで、エアフローを徹底的に改善しました。最大50%も改善したモデルもあります。少ない風でよりよく冷却できるので電力消費を抑制する効果もあります」(岡野氏)

実物を見るとわかるが、ヒートシンクや冷却ファンが新しくなり、整然とした内部レイアウトになっている。PCIeカードの種類別に冷やし分けるのは業界初で、特許も取得済みだ。

  • ヒートシンクや冷却ファンが新しくなり、整然とした内部レイアウトに

ハードウェアRAID対応のブート用PCIeデバイスとは、M.2 SSDを2本搭載したOS/ハイパーバイザーブート用に最適化されたPCIeデバイスだ。PowerEdge BOSS(Boot Optimized Storage Solution)と呼ばれていて、ハードウェアRAIDによってOS・ハイパーバイザー領域を保護する。「ブートデバイスの冗長化対応はNutanixユーザーからの要望も多かったので、我々にも大いにありがたかったです。HCIの世界では、国内企業の多くが待望していた機能です」(川田氏)

資料ダウンロード

本稿で紹介した第14世代Dell EMC PowerEdgeサーバの「サイバー レジリエント アーキテクチャー」に関する資料を無償で提供しています。
ダウンロードはこちら


また、仮想化基盤をHCIで迅速に構築した化粧品OEM企業として国内トップシェアを誇る株式会社トキワ様の事例資料も無償で提供しています。
ダウンロードはこちら

最新のインテル® Xeon® プロセッサー・スケーラブル・ファミリー は、新しいエンタープライズ・アプリケーション、科学技術計算、通信、ストレージ、クラウド、ビッグデータ分析など、さまざまな用途に、性能、電力効率、仮想化、セキュリティーの面で大きなメリットを提供し、IT部門の課題解決を支援します。Intel、インテル、Intelロゴ、Xeon、Xeon Insideは、アメリカ合衆国および/またはその他の国におけるIntel Corporationまたはその子会社の商標です。

[PR]提供: Dell EMC