「できなくてへこんだ」- 経験がその後の糧に
キャンプ参加者に話を聞くと、「楽しかったけれどできなくて悔しかった、へこんだ」という感想が返ってくることが多いが、それは今や講師となった2人も同じだったようだ。
「自分は組み込みが好きで、マイコンも結構触っているつもりでした。けれど2013年に参加したとき、『コンピュータのアーキテクチャや低レイヤの仕組みなんて皆知っているよね』という前提で講義が進んで、『自分は何も知らないじゃないか』ということを認識しました。それからいろんな人に教えてもらったり、インターンに参加したりして、すごく勉強しました」(西永氏)
「まだまだ勉強中の身です」と声をそろえる2人だが、少しずつ、だが確実に成果を出している。
西永氏は2016年の「Google Summer of Code(GSoC)」に参加。著名なカーネル開発者の1人、グレッグ・クロー=ハートマン氏をメンターとしながら高性能マイコン「STM32F746NG」上でU-BootやBuildroot、Linuxを動作させるコードの開発に取り組み、このうちU-Boot向けパッチをコミュニティに投稿した。今後も、Linux向けに足りない機能をサポートするようなパッチを書き、コミュニティや次の世代に還元していきたいという。
また木村氏は2017年のGSoCに参加。2017年9月にバルセロナで開催される「r2con」に登壇し、オープンソースのリバースエンジニアリングフレームワーク「radare」用に実装した新機能について発表した。
木村氏は「名前が残っているハッカー的な人たちを尊敬していますし、目指しています。自分も、『これを作ったのはあの人だ』という何かを残したいと考えています。サブシステムとかソースコード1つという以上の、何かしらの形を残したいです」と意欲を見せた。