米Cornerstone OnDemandは6月6日(米国時間)、カリフォルニア州サンディエゴで開催している「Cornerstone Convergence 17」にて、同社のタレントマネジメントソリューション「コーナーストーン」のパフォーマンス・スイートで人材アナリティクスを拡充する新機能「コーナーストーン・エンゲージ」と、HRスイートの一部となる「コーナーストーン・ベンチマーク」を発表した。
「社員エンゲージメント」に着目せよ!
自社への思い入れや、目標達成に向けた貢献意欲を表す「社員エンゲージメント」。これが今、業績と深い相関関係があることがさまざまな調査から明らかになっている(関連記事:低迷する日本の社員エンゲージメント、調査で解明されたキーワードとは?)。ただ目の前にある仕事をこなす社員と、エンゲージメントの高い社員が自発的に取り組む仕事とでは、生産性が違うというわけだ。
6日の基調講演に登壇した米Cornerstone OnDemand 社長兼CEO アダム・ミラー氏は、Gallupの調査結果を挙げ、「今、米国では68%、ワールドワイドでは87%の従業員が自分の仕事に対して『エンゲージメントがない』と回答しています。これは、エンゲージメントの危機に直面していると言えるでしょう」と警鐘を鳴らす。
氏は、「この数字を見れば、(組織に)何か問題があるということは認めなければいけません。そして、我々はこの問題を解決するサポートをしたいと考えています」と語り、個々の社員のなかでどのような変化が起こっているのか、エンゲージメントの状況をつかむための新機能としてコーナーストーン・エンゲージを紹介した。
コーナーストーン・エンゲージでは、企業が社員エンゲージメントの構成要素を測定し、ダッシュボード上で分析することができる。データ収集はPCやモバイルを経由したオンライン調査のかたちで行われるため、従業員は自身の回答を周囲に知られることはない。
エンゲージ・ダッシュボードで社員の満足度を表示している画面。調査は4半期に1度を目安に実施すると良いという |
フリーフォームによる記述からは、複数の社員の回答のなかから共通するキーワードを表面化させることができる |
これにより、効果的な人材育成計画を立案できるほか、社員からのフィードバックの変化を追跡することで、社員が抱いている懸念に対応したり、前向きな企業文化の成長を促したりといったことが可能になるという。
将来的には、社員からのフィードバックだけでなく、「コーナーストーン・ラーニング」など、他のコーナーストーン製品からのデータも分析することで、エンゲージメントに影響する要因をより正確に把握できるようになるとしている。
同業他社の状況は? すぐに使えるベンチマークデータを提供
一方、コーナーストーン・HRスイートの一部として提供されるコーナーストーン・ベンチマークは、世界各地に存在するコーナーストーンの3,000社以上の顧客、3,100万人以上のユーザーから抽出されたペタバイト規模の社員データをベンチマークデータとして利用できるというもの。ベンチマークデータは、事前に厳密なデータプライバシーポリシーに基づいて匿名化・集約された上で提供される。
コーナーストーン・ベンチマークを使えば、組織内のさまざまな状況・多様性を把握できるほか、同業他社や同一地域にある別企業とデータを比較することが可能となる。例えば、従業員の平均在職期間を同業他社と比べたり、同一地域内の他企業と比較して自社の採用コストはどの程度なのかを把握したりといった具合だ。
こうした比較に基づいて得られた気付きから、戦略的な事業決定ができるようになるとしている。