Facebookが日本でもビジネスコミュニケーションプラットフォーム「Workplace」の提供を開始した。世界で1万4000社が利用し、国内でも300社がテストロンチから活用、ビジネスSNSの新たな”黒船”として、日本市場に切り込む。
1アカウント3ドルから
Workplaceは、2015年1月に「Facebook at Work」として試験運用を開始し、2016年10月にWorkplaceとして正式リリースされた。すでにFacebookを模したMicrosoftの「Yammer」や、エンジニアを中心に利用が拡大している「Slack」、日本国内ではモバイルファーストでチャット中心の「LINE Works」、「ChatWork」「Tocaro」などが登場している。(関連記事 : 新卒でEvernoteに入社した日本人がCTCに転職した理由)
製品はほぼFacebookと同じインタフェースながら、エンタープライズグレードのサービス・セキュリティを保持している点だ。ビジネスドメインで利用でき、データについても企業内で保管することが可能。シングル・サインオンによってAzure IDやG Suiteと連携できるほか、SOC2などのセキュリティ基準にも準拠している。また、コミュニケーション量などの可視化・分析基盤も用意しており、従業員への活用レコメンドもワンタップで行える。
価格体系はシンプルで、無償で利用できる「Standard」と有償の「Premium」の2種類のみ。9月末までは無償でPremiumが利用できる。無償版のStandardでは、管理者機能が用意されておらず、ユーザーが自分で他の従業員などを招待するしかないほか、前述のビジネスドメインの活用などが利用できない。Premiumは、月間アクティブユーザー1000名までが1アカウントあたり3ドル、1001名以上、1万名未満までが2ドル、1万名以上が1ドルとなる。なお日本円決済については「Premiumの無償体験が終了する9月末までに、なんらかの体制は整えていきたい」(Facebook Workplace事業 アジア太平洋地域担当 グロースマネージャー 豊田 哲太郎氏)としていた。
使い方はFacebookと変わらず
Workplaceの利用方法はFacebookとまったく変わらず、その上でビジネス仕様にカスタマイズされている。例えば通常の投稿にWordのような見出し、章設定ができるほか、本文中の画像差し込みも可能となる。また、PDFファイルをアップロードした場合は、ダウンロードすることなく、Web上で閲覧が可能だ。
また、基本的には自社に閉じているWorkplaceネットワークだが、会社間グループを作成することで、ほかの企業のWorkplaceユーザーとコミュニケーションできる(管理者が拒否することも可能)。メンバーの追加は、Azure ID連携やG suite連携はもちろん、csvファイルの取り込みも可能。また、クラウドストレージとの連携で簡単なファイルの取り込みも実現している。
面白い点では、Workplace版メッセンジャー上でチャットボットを利用できる点。記者説明会でデモした「経費精算ボット」では、質問に対して回答を入力していくだけで、管理者に承認申請が飛び、管理者もワンタップで承認ができる仕様となっていた。
スタバは「Workplace効果」で新メニューも
記者説明会でFacebook SMB/Workplace APAC責任者のNakul Patel氏は、Facebookのミッション「オープンでつながりのある世界を実現する」を達成するためには、人生の大半の時間を費やす仕事場で「35億人の働く人々にリーチする必要がある」(Patel氏)ことからWorkplaceが生まれたと話す。